<中京テレビ・ブリヂストンレディス 最終日◇26日◇中京ゴルフ倶楽部 石野コース(6482ヤード・パー72)>
最高気温31度と、連日真夏日を記録した本大会。初夏を通り越していきなり夏本番がきたような暑さに、ホールアウト後の選手たちはぐったりだった。
松田鈴英、日傘と氷のうは必需品?【写真】
ところが、「暑い…」「ムリ…」という言葉に交じって、「気温が上がって飛ぶようになった」というポジティブなコメントがちらほら。暖かくなると飛距離が伸びる…と耳にしたことはあるが、実際のところはどうなのだろう。
「ドライバーが先々週から飛ぶようになってきた」というのは青木瀬令奈。オフシーズンとハイシーズンでは、ドライバーのキャリーで15ヤードの差が出るそうだ。「今日(初日)はちょっとフォローだけどキャリーが215ヤードくらい。冬場だと200ヤードもいかなくて、190くらい」。今シーズンのドライビングディスタンス10位の河本結は「ドライバーなら10ヤード、当たると15くらい違います」。同2位の松田鈴英に関しては「50ヤードくらい! いや、ちょっと盛ったかな。でも30は絶対違う」という。
そうなると、気になるのが“なぜ”の部分。ひとつは、体が動くようになる、というのがありそうだ。「半袖1枚でできないと、私はダメですね」と青木が言うように、薄着になるため動きやすくなることも大きい。「体が動いて振れるようになると、スピード感が出てくる。ムリに振ろうと思わなくても振れるので、フィニッシュからパンパン、と反動で気持ちよくクラブが戻ってくる。振れなくなると、ストンと落ちて戻ってこないんですよね」。
“寒いと体が動かない”というのは常識的に頭にあるが、気温の高低が体にどう影響するのか。勝みなみに帯同している大迫伸二トレーナーに聞くと、「寒いと、神経が体を守ろうとして省エネになる。そうすると必要な部分だけを動かそうとするので、どうしても動かなくなります。逆に暑いと汗をかいて血行が良くなるので動きが良くなります」と教えてくれた。
選手のギアを調整しているメーカー担当者に話を聞くと、プロが気温が要因で“飛ぶ、飛ばない”を判断するとき、一つの基準となるのが15度だそうだ。15度を超えるか超えないかで、感覚に差がでる選手が多いという。加えて、気温が高くなると空気が膨張して密度が小さくなるため、単純に空気抵抗が減って飛びやすくなる。
やはり気温が上がると、プロの場合はドライバーでかなりの差がでるのは事実のようだ。ところが、飛距離が伸びた! と単純に喜ぶことばかりではない。
「この時期は、アイアンの縦の距離感が合わせづらいので、それを頭に入れて練習をしないといけない。今の時期はズレやすい。アイアンだと1〜3ヤードくらい。その3ヤードはすごく大きいので気をつけています」と話したのは河本。気温差の激しいこの時期は特に注意が必要だ。
ちなみに、今季のここまでの試合で、それぞれのドライビングディスタンストップの数字は以下の通り。
・ダイキンオーキッドレディス:257.25ヤード
・ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディス:計測なし
・Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント:239.8ヤード
・アクサレディス:246ヤード
・ヤマハレディース:267.625ヤード
・スタジオアリス女子オープン:255.833ヤード
・KKT杯バンテリンレディスオープン:計測なし
・フジサンケイレディス:263.333ヤード
・パナソニックオープンレディース:260.4ヤード
・ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ:268ヤード
・ほけんの窓口レディース:277.333ヤード
・中京テレビ・ブリヂストンレディス:269.5ヤード
明確に右肩上がり…ではないものの、確かに若干伸びている…? 当然ながら、各試合でコースも違い、限られた計測ホールのみの平均をとっているためこの数字が全てではない。だが、季節を追うごとに飛距離がどう変化するかに注目してみるのも、観戦のひとつの楽しみとしておもしろいかもしれない。(文・谷口愛純)
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