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タイガー・ウッズの「これから」は、どうなっていく！？【舩越園子コラム】

「マスターズ」で快勝したと思ったら、続く「全米プロゴルフ選手権」では別人のようなゴルフで予選落ちしたタイガー・ウッズ（米国）は、果たしてこれからどうなっていくのか。それは今、世界中のゴルフファンが抱いている疑問であり、興味でもある。
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「ザ・メモリアル・トーナメント」開幕前、大会ホストのジャック・ニクラウス（米国）はウッズに対する大きな期待を込めて、こう言った。「タイガーが自身のメンタル面をどんなふうにコントロールしているのか。それを眺めるのが何より楽しい」。
マスターズを制した際のウッズは、大観衆に向かって万歳のようなガッツポーズを取り、14年ぶりのマスターズ優勝、11年ぶりのメジャー優勝の味を人々とともに噛み締めた。相棒キャディのジョー・ラカバ、そして出迎えてくれた子供たちや母親、恋人らと次々にハグを交わし、心底、うれしそうだった。
あのときの様子を振り返りながら、ニクラウスはさらに言葉を続けた。「タイガーがあれほど感情的になったのも（復活までの長い道程を考えれば）無理はない。でも今後は、タイガーのああいうエモーショナルなメジャー優勝の場面は、もう見られなくなるだろう。なぜなら、これからは（以前のように）勝って当たり前のタイガーになるからだ。そう、タイガーは当たり前のようにメジャーに勝っていくだろう」。
ニクラウスのメジャー18勝の記録にも迫り来るだろうし、追い抜かれるかもしれないが、ぜひともそうなってほしいし、そうなるだろうと帝王は予想していた。「（マスターズ優勝によって）自分はまだまだ勝てるんだと信じられたのだから、あとは突き進むのみ。タイガーは今週（のメモリアルで）も、とてもとてもいいゴルフを見せてくれるだろう」
ニクラウスが予想した「とてもとてもいい」が「優勝」を指していたのなら、今週のウッズの成績は残念ながらそこには及ばず9位タイだった。
だが、予選落ちした全米プロ以来の試合出場でトップ10入りはナイス・カムバックだったと言っていい。最終日のフロント9は5バーディー、ノーボギーで大観衆を沸かせた。折り返し後もさらに2バーディーを奪ったが、そのあと2ボギーを喫し、バック9はスコアこそ伸ばせなかったが、キャディのラカバいわく「タイガーのショットはかなりいい状態。10段階の9ぐらいまで来ている」。
ウッズ自身も「いい手ごたえが得られた上で（再来週の）全米オープンに向かえる」。その笑顔には安堵の色が見て取れた。
今年の「全米オープン」の舞台はカリフォルニア州のペブルビーチ。このコースで開催された2000年大会を圧勝したウッズだからこそ、今年この地でメジャー16勝目を挙げるのではないかと期待されている。
しかし、ここ最近は米ツアー選手たちの間で全米オープンと大会を運営するUSGA（全米ゴルフ協会）に対する不満や批判が渦巻いており、米メディアから「アナタは、どう思っている？」と尋ねられたウッズは「全米オープンは変わってしまった」と答えた。
「昔の全米オープンは、じっと耐えて我慢のゴルフをするコースだったが、今はトリッキーなコースになってしまっている」
その変化が起こったのは2006年大会からだったとウッズは振り返った。ウッズが優勝した2008年大会のときも、トリーパインズの14番のティを大幅に前に出し、「1オン可能なパー4にわざわざ変える必要性がどこにあったのか、疑問だった」。
ウッズのロジックに基づけば、圧勝した2000年のペブルビーチと今年のペブルビーチがまったく異なるコースと化す可能性は大である。
しかし、どんなペブルビーチであろうとも、ニクラウスが予想している通り、メンタル面を上手くコントロールして、素晴らしいゴルフを見せてくれるのではないか。ウッズだからこそ、そう期待したい。
文・舩越園子（ゴルフジャーナリスト）
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