<大東建託・いい部屋ネットレディス2日目◇2日◇鳴沢ゴルフ倶楽部(6,605ヤード・パー72)>
アマチュアゴルファーの澁澤莉絵留が大会2日目を終了して、首位と2打差の単独2位に立った。と言っても、雷雲接近のためサスペンデッドになり、第2ラウンドを2ホール残しての話だ。それでもこの日は、第1ラウンドの残り10ホールを終え、その後で第2ラウンドの16ホールをプレー。計26ホールを6バーディ・1ボギーで回ったうえでのトータル8アンダーは十分評価できる。
キャディとなごやかな雰囲気の澁澤【写真】
実はこの澁澤、“日本資本主義の父”と呼ばれており、24年から壱萬円札の新しい顔になる渋沢栄一と“遠戚”に当たるらしく、本人もそのことを幼少のころから聞かされて育ったという。思わぬところで偉人とのつながりが発覚したが、それ以上に驚いたのは、ゴルフの内容だ。第1ラウンドでは、18ホール全てでパーオンに成功。ティショットでフェアウェイを外したのもわずかに2回だ。ツアー競技には6試合の出場経験があるものの、予選通過したのは昨年の「日本女子オープン」のみとは思えない内容だ。
「今週は練習ラウンドから入念にメモをとったおかげで、攻めるホール、守るホールを自分の中でハッキリできたのがよかったと思います」と澁澤。ショットの調子がよくないものの、コースマネジメントでそれをカバーしたと笑顔を見せた。今年の3月に福岡の沖学園高校を卒業したばかりの18歳だが、高校時代はナショナルチームと縁がなかった。というのも、同じ2000年生まれには、先週から海外メジャーに挑戦している安田祐香を筆頭に実力のある選手が数多く名を連ねているからだ。
「確かにまだまだ足りない部分が多いと思いますが、試合で一緒に回る機会があったときには、自分なりに勉強しています」と控えめだ。実際、澁澤にとっての課題は、大会中に必ずあるスコアを崩す1日をどうなくすかだ。先週の「センチュリー21レディス」でも初日を8位タイでスタートしながら、2日目に「76」を叩き、予選落ちを喫している。
今回は予選通過どころか、優勝争いに絡む大チャンスだけに、なんとか課題を克服したいところだろう。仮に優勝でもしたなら、女子プロテストを受けることなく日本女子プロ協会会員になれる。となれば、同年代のライバルたちを一気に逆転できるわけだ。
しかし、本人はあくまでも冷静で、「優勝をあまり意識せず、じわじわとトップに追いつけたらいいかなと思います」と、明るい笑顔を見せてコースを後にした。(文・山西英希)
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