<大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日◇4日◇鳴沢ゴルフ倶楽部(6605ヤード・パー72)>
首位と2打差の3位タイでスタートした成田美寿々が、5バーディ・3ボギーの「70」でラウンドし、トータル11アンダーでフィニッシュ。トータル10アンダーの有村智恵を逆転し、今季2勝目、通算13勝目を飾った。
相方はいなかったけど…キメたぜ、ヅカポーズ!
2位以下に1打リードで迎えた最終18番パー5、成田美寿々は1mのパーパットを残していた。思わず手が震えたという成田だが、ボールは右に曲がりすぎてカップの右縁をかすめていく。「やっちゃった……」とプレーオフを覚悟したが、ボールはカップをなめるように右縁を転がった後に沈み、17年に続く大会2勝目を手にした。
しかし、ここまでたどり着くには、相当の紆余曲折があった。きっかけは昨年10月の8か国対抗戦となった「ULインターナショナルクラウン」だ。日本チームは予選敗退となったが、成田は自分のゴルフスタイルがまったく通用しなかった衝撃を受ける。「やっぱり高い球を打たなければいいスコアは出ない」と思い、オフに高弾道取得を目指して練習に励んだ。しかし、いざ今シーズンが始まると、風が強い大会が多く、高い球が必要ないことに気がつく。そのうち調子を崩してしまう。
「私の“必殺技”ともいえるコントロールショットと高弾道は相反する打ち方なんです。コントロールショットはクラブフェースを返さない打ち方ですが、高弾道を打つにはフェースを返さなければいけない。そこで迷いが生じたんですよね」
結局、高弾道を打とうとして調子を崩したままでいるよりも、本来の姿であるコントロールショットを磨いたほうがいいと考えた。今大会の最終日は、アイアンショットのすべてをコントロールショットで打ったという。
「自分のゴルフはたとえボギーを叩いてもそれ以上にバーディを奪えばいいというものでした。ところが、ここ最近はバーディを奪えなくなっていたんです。でも、必殺技で勝負するようになり、今大会では4日間で20個のバーディを取れた。それに関しては十分満足しています」
成田には、小さい頃からの夢がある。オリンピック選手になることだ。「小学6年のときに水泳の北島康介さんやソフトボールの上野由岐子さんに憧れて、いつかは自分もあの舞台に立ちたいと思うようになりました。あと、ジュニア時代にナショナルチームに入れず、そのコンプレックスがいまだにあることも大きいですね」。成田にとっては、海外メジャー以上に五輪に出場することは大きなステータスなのだ。
来年開催の東京五輪に出場するには、ワールドランキングを上げなければいけない。そのためには、来年の6月30日までにあと4勝から7勝を自らにノルマとして課している。ほぼ月イチでの勝利となるが、そのための努力は十分しているつもりだ。今回、4日間の長丁場にサスペンデッドなどのアクシデントがあったにもかかわらず、自分のゴルフを最後まで貫き通せた自信は大きい。あとは地道に一歩ずつ結果を残していくだけだ。(文・山西英希)
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