<RIZAP KBCオーガスタ 初日◇29日◇芥屋GC(福岡県)◇7103ヤード・パー72>
今季10試合に出場してトップテン入りが2回、現在賞金ランキング23位につけている藤田寛之。今週は出身地である福岡県での開催だけに、周囲の期待は高まるが、本人は至って冷静だ。
世界のトミーとシブコ【写真】
「5年前の大会で優勝していますが、そのときと今とでは自分の状態が大きく違います。今回は優勝というよりも上位入賞が目標です」
ここ数年と比べて今季はまずまずの結果を残しているだけに、もっと強気な答えが返ってくるかと思ったが、シビアに自分を分析する。
「50歳を過ぎて、今さら新しい技術を身につけるとか、練習量で技術をカバーすることは難しいと思います。それよりも、パフォーマンスがどんどん下がってくる中、今自分が持っているものをどれだけ発揮できるのか、そこが大きな課題です」
その論理でいえば、自分が持つ力を高い数値で発揮できたのが、5位タイに入った「中日クラウンズ」であり、4位タイに入った「日本プロ」なのだろう。結果だけを見ればそこまでパフォーマンスが低下したとは思えないが、藤田自身の中にはいかんともしがたいジレンマがある。確かに、練習量を減らすなどして、少しでもいいコンディションで試合に臨もうとしたり、試行錯誤を繰り返していることは事実だ。それがクラブに対するこだわりにも表れている。
現在、ドライバーは契約先であるヤマハの『RMX120』を使用しているが、試合ごとに同じタイプで違うヘッドを試しているという。飛距離はもちろん、ボールのスピン量や初速など自分が納得のいく数字を求めたいからだ。
「まだ手にしてから間もないので、いろいろと試している段階ですが、ヘッドがこれというものに決まったら、今度はシャフトを試すつもりです」
スイング自体を変えたり、パワーアップするのではなく、今と同じスイング、同じパワーでもポテンシャルを上げることができれば、大きな武器になる。その思いが、こだわりにつながっている。逆にいえば、そういったこだわりがあるからこそ、50歳を過ぎてもレギュラーツアーで戦い続けることができるのだろう。
過去、20代、30代、40代、50代のすべてにおいてレギュラーツアーで優勝した選手は杉原輝雄、尾崎将司、中嶋常幸の3人しかいない。上位進出が目標という藤田だが、20代、30代、40代で優勝を飾っているだけに、ぜひ4人目の偉業達成に挑戦してもらいたい。(文・山西英希)
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