<RIZAP KBCオーガスタ 最終日◇1日◇芥屋GC(福岡県)◇7103ヤード・パー72>
最終18番パー5で60センチのバーディパットを決め、ギャラリーから大喝采を受けた石川遼。しかし、そのわずか数分後に事態は急変した。アテスト小屋に入った石川のところへ伊藤匡競技委員長がきて、「ボールマークを戻しましたか?」と聞いてきたのだ。
石川遼が“Bダッシュ”【大会フォトギャラリー】
自分がパッティングを打つ前に、同伴競技者のライン上だったので、ボールマーカーを横にずらしていた。本来ならその競技者がパッティングを終えた後に、ボールマーカーを元の位置に戻さなければいけない。ところが、石川は戻していなかった。「あっ、ボールを1個ずらしていたんだ!」とすぐに思い出し、ゴルフ規則14.7a「プレーヤーは誤所から自分のインプレーの球をプレーしてはならない」に則り、2罰打を受けた。
「戻さなきゃ、戻さなきゃと思っていて、戻すのを忘れてしまったというか、いつもはボールマークを戻すことを最優先にしていたのですが…。同伴競技者からも『言わなくてごめんね』とか、『言うのを忘れていた』と声をかけてもらいましたが、そうさせたことが申しわけないですし、すごい迷惑をかけたと思います」
ジュニア時代以来、2度目のボーンヘッドに痛恨の表情を浮かべた石川。だれにでもミスはあるが、マチュアゴルファーのお手本であるツアープロとして、許されないミスである。今回の件を猛省するべきだが、それを最も理解しているのは石川自身でもある。
「しっかりと自分を正さなければいけないと思います」と反省していた。この日はスタートの1番ホールから積極的なプレーを心がけていた。前日まではアイアンでティショットを放っていたが、この日はついにドライバーを手にした。追いつけるかどうか分からないが、とにかく自分のやれることを精一杯やろうという意気込みからだ。ティショットを右に曲げて左の林に打ち込んだが、そのピンチを3オン1パットのパーで切り抜ける。続く2番パー4では2打目をピン左上6メートルにつけ、それを沈めてバーディ。そのまま一気に波に乗るかと思われたが、ショットとパットがかみ合わず、4バーディ・2ボギーの「70」でホールアウト。通算15アンダーで13位タイに終わった。
「攻めようという気持ちがあっただけに残念ですね」
と振り返った石川。しかし、それ以上にボールマークを戻さなかったことのほうがショックなのか、「気持ちを切り替えるにも時間はかかると思いますが、とにかく来週は同組の選手に迷惑をかけないことを最優先にします」と寂しそうな表情でコースを後にした。(文・山西英希)
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