<デサントレディース東海クラシック 2日目◇21日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(愛知県)◇6437ヤード・パー72>
満身創痍の前年覇者が、トータル3アンダーの33位タイで予選を通過した。昨年、本大会でツアー初優勝を挙げた香妻琴乃が、「クラブを振れないほどの痛み」を抱えながらラウンドを続けている。
会場にイナムラ・アミ?【写真】
突然のアクシデントが起こったのは、開幕前日に行われたプロアマの朝だった。目が覚めると、右肩に激痛が走り、「スイングはもちろん、物を持つこともできない。アドレスで肩を前に入れるだけで痛かった」という状態になった。もともと今季序盤はこの右肩痛に悩まされてきたが、関節分野で名医と呼ばれる人物がいる都内の病院で5月に治療したことで、「治ったのかな」と思うまでに回復。ディフェンディング大会に向け気合を入れ、練習日も普通に練習を行っていた。
そんななか悲鳴をあげた肩。プロアマ出場も断念し、当日の朝には参加ゲストや関係者に頭を下げて回った。その時には「(出場できるか)分からない。ケアなどをしてよくなってくれればいいんですが…」とうつむきながら、痛々しい様子で話していたのが印象的だった。
その後、出場を目指した香妻は、会場のある愛知県から一度東京に戻る決断をくだす。ただ、かかりつけの病院に担当医が不在だったため、弟の陣一朗が通う鍼灸院を紹介され、そこに駆け付けた。「たまたま弟がいたみたいで、お願いしてくれたみたいで…。本当は1週間予約がとれないところみたいなんですけど」。そこで治療を行い、再び愛知県へと戻るとんぼ返りだった。
「寝る時はまだ痛くて、棄権も考えました。でも朝起きると少し痛みがひいていて」。こうして何とか“念願のラウンド”にこぎつけた。この2日間は、テーピングで肩をガッチリとかため、さらに朝とハーフターン時には痛み止めを服用してのラウンドが続く。「(テーピングで)動きづらいですし、痛みが怖いから思いっきりは振れないですけど、それで逆に力みがなくなっているのかもしれませんね」。こうしてディフェンディングチャンピオンにとって“最低限のノルマ”ともいえる予選通過を果たした。
「試合に出られないという最悪の状況は避けられました。それだけで今週は十分ですね」。これが本音だ。試合が終わった後は、再び鍼灸院を訪れて治療。来週のホステス大会「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」終了後にかかりつけ医がいる病院を訪れ、詳しい検査を行う予定だ。昨年大きな喜びを得た場所で、今年は歯を食いしばりながら残り1日を戦う。(文・間宮輝憲)
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