一般アマチュアゴルファーは、同じ40m/s程度というヘッドスピードが近い理由で女子プロを参考にした方が良いと言われているが、参考できるのはスイングだけではない。女子プロたちも我々アマチュアと同じように「球が上がらない」など多種多様の悩みを抱えていて、それを矯正しているのは、スイングだけでなく14本のクラブたちなのである。
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そこで、女子プロたちがクラブセッティングにしている、ちょっとした工夫=スパイスをピックアップ。クラブ選びの参考にしてきたい。今回は柏原明日架を初優勝に導いた4番ウッド。
バフィと呼ばれる4番ウッドだが、女子ツアーで使用している選手は少ない。3番(スプーン)と5番(クリーク)の組み合わせの選手が多く、アマチュアで「日本女子オープン」を優勝した際にバフィを入れていた畑岡奈紗も、今ではバフィを抜いてその2本がバッグインしている。
今季の7月から入れた柏原も元々はスプーンを入れていた。だが、「悪くはなかったのですが、ティショットで思った以上に飛んでしまうことと、パー5で2オンを狙いに行くときに高さが出ないことが気になっていました。特に夏場にかけて2オンを狙うパー5があるコースが多かったですし、そういうホールでバーディを獲れていなかった」という悩みがあり1つ下の番手をテスト。「操作性もいいですし、高さも出る。全然違いますね」と投入を決意したという。
3番ウッドより易しく5番ウッドよりも飛ぶ。両方の良さを兼ね備えている一方で、『帯に短したすきに長し』ともとれる4番ウッド。プロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏にクラブの特長、そして入れるべきタイプのゴルファーについて聞いた。
バフィについて「元々4番ウッドは2番(ブラッシー)とともに、3番(スプーン)と5番(クリーク)の間を埋める『帯に短したすきに長し』を解決するフェアウェイウッドとしてパーシモン(柿の木)ヘッドやメタルヘッド初期には人気クラブでした」と説明を始めた筒。最大のメリットを「今回の柏原選手のように、高さを出しつつ飛距離を稼ぐこと」だという。
なぜ、そんなバフィが廃れていったのか。「バフィ全盛期のロフトは、17〜18度。つまり現在の5番ウッドはストロングロフト化して、当時のバフィと同じようなロフト角となった。そうして4番ウッドの存在理由が弱まったことで、ラインナップの主流から離れてしまったと思います」。飛びをうたい、ロフトを立てたフェアウェイウッドが増えたことで、差別化がなくなり、5番のほうが主流になっていった。
そうしてメーカーの選択肢も減ったことで3番、5番というセッティングが定着した。逆に言えば柏原はキャロウェイ契約だからこそ、今のセッティングができていると筒氏はいう。「キャロウェイのように番手が沢山あれば、5番ウッドの打ちやすさで3番ウッドに近い飛距離が出る4番ウッドはオススメです」。そもそも選択肢があってこその組み合わせなのだ。
そんなバフィが気になった方に、筒氏が使ってみて欲しいタイプとして挙げるのが、「フェアウェイウッドが好きだけど、3番ウッドでは弾道の高さが出ない人が対象になると思います」とやはり高さが足りない人。「キャロウェイ『ローグ』シリーズやダンロップ『ゼクシオ』など、ボールが上がりやすい基本性能があって番手がたくさんラインナップされているモデルがいいでしょう」と2モデルをピックアップした。
とはいえ、先述の通り“モノ”自体が少なくなっているバフィ。「ゴルフショップの試打クラブではなかなか見つからない番手。ゴルフショップや中古ショップで物色してみるのも楽しいと思いますよ」。今となってはレアアイテム。見つけたら、ぜひ手に取ってみて確かめてみては。
解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。
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