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渋野日向子よりもコーチが緊張で吐いた!?　全英AIG優勝秘話【注目プロコーチ鼎談】

渋野日向子のコーチであり、優勝した「全英AIG女子オープン」ではキャディを務めたことでも話題を呼んだ青木翔コーチ。その青木を「遅ればせながら」と上田桃子らを指導する辻村明志氏、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏がお祝いをするということで潜入。全英の舞台裏から渋野と小祝さくらの共通点までとことん語り合ってもらった。今回は辻村、青木が現地に行っていた全英の裏話をお届けする。
最後の強気のパットも改めて　歴史的瞬間をもう一度動画で！
一同：かんぱーい！
辻村明志（以下、辻村）：おめでとう！
大西翔太（以下、大西）：おめでとうございます！
青木翔（以下、青木）：ありがとうございます！
辻村：やっぱりうれしいよ。日本人が勝つなんて。日本で5勝くらいしても渋野さんには勝てないね。全米くらい勝たないと、もう「青木くん」って言えない（笑）。※編集部注：辻村氏のほうが年上。もう裏では「辻村くん」って呼んでるでしょ（笑）。
一同：笑
青木：口が裂けてもいえない（笑）。でも翔太は言ってそう（笑）。
大西：どういうことですか（笑）！でも、渋野さんが頑張ったおかげで、本当に日本のゴルフ界が盛り上がりましたね。
青木：あれで負けていたら、ただの全英でふざけてたヤツですからね（笑）。
大西：いろいろ渋野さんにやらせていたんですか？
青木：テレビカメラに抜かれたときに「シブコなんかやれ」って言ったのは僕です（笑）。
辻村：でも、その辺の温度感が2人は合っているんだよね。ああやってプレーするタイプなんだよ。あの子にぎっちぎちのこと言ったら、らしさが全然出なくなる。
青木：わけ分からなくなって、爆発してると思います（笑）。
辻村：渋野さんのフェアプレー精神がむちゃくちゃ気持ちいいんだよね。
大西：性格の良さがプレーにも出ていますよね。
辻村：だけど結局うまいい選手じゃなくて、変わり者が勝つんだなって思った。
青木：ホントそうですね。
辻村：だって、あの会場で普通だったら絶対勝てない。ちょっとでもビビっていたら絶対に3日目、最終日で崩れてる。最後のパットだって「つえ〜」って思ったもん。でも、パンチ入ったわけじゃないんだよなぁって（笑）。
青木：明らかに本気で打ちましたからね（笑）。
辻村：俺、鳥肌立ったもん。
青木：知っての通り変わり者なんですよ（笑）。すねないんですよね、練習ラウンドでも。女子プロ選手権のときも、17番で手前の池があって、池というか池の淵に止まって爆笑。そしたら次の18番、池に放り込んで爆笑して。「さぁ、試合のぶんも放り込んだ！」と言っていました。
一同：爆笑
辻村：でも、本当になんとかドリームだね。生で観たかったなぁ（※編集部注：辻村氏は帰国便の都合で先に移動していた）。俺、午前組だったから…（笑）。
桃子の8番のパー3を観ていたときに「あのピン位置だけは気を付けろ」って思って、スタート前の青木くんに言おうと思ってたの。だけど、もし「気をつけろ」って言ったところで、別に気をつけ方もないんだけどね。ホントに狙いどころが3マスくらいしかなかった。でも、奥に行くと寄せられるようなところがなかった。桃子は奥行って、2.5mか3mくらいアプローチがオーバーして、それ入れてパー取ったんだけど、それが入ったから良かったようなもので。そこだけは、もうちょっと手前からちゃんと置いていけばって思った。
だけど、それを言って、なんか動揺したり、渋野さんたちの感じが狂うのも嫌だな…、と。言ったところで変わらないだろうけど、すごく言いたくて。パーでいいんじゃないかなって。だけど、18ホールをバーディ狙っていくっていう信念でやるんだろうなって思ったから、口が止まったんだけど。
青木：案の定、奥にこぼすっていう。
一同：爆笑
青木：本当にそこ！（笑）
辻村：絶対行くよね（笑）。行く！　と思って。だけどね、言わなくて良かったんだね。本当ね、「8番だけは気を付けな！」って言おうと思ってたのよ。喉まで出かかったんだけど…、いやもはや出てたもん…。だけど我慢して…。あの状況では、そういった自分はこう思ってる、俺はこう思ってるってみんなの魂があったから。
青木：みんなにいろいろ言われていましたから。
辻村：楽しかったでしょ？
青木：楽しかったです。すごく楽しかったです。
大西：吐いたのにですか？
青木：最終日の朝ね（笑）。3日目が終わってから、めっちゃ連絡が来たんですよ。「頑張って！」、「世界一取ってこい」って。こっちは何も考えていなかったから、「あ、そっか！42年ぶり？！やべーな！！」って思って。でも、その日は寝られたんですよ。
それで朝起きて、ニュースとか見ていたら全英の話題で持ちきりで。「そっか…、このチャンス逃したらあかんな」って思ったらだんだん緊張して気持ち悪くなってきて。その時、喉の調子も悪くて咳込んでいたらそのまま吐いて。「あ〜…やっぱり俺、プレッシャーに弱いなー」って（笑）。
一同：爆笑
辻村：でも、本当におめでとう。心の中は、正直に言えば悔しさもあるから、100％お祝いというわけではないんだけど、でも、こんなに喜べた選手がいるかなって思っている。これだけのことをやったわけだから、次はもっと派手なことしないと勝てないじゃん。いくらでも獲りたい気持ちはあるんだよ。だけどメジャーってめちゃくちゃ高い位置にあるんだよ。日本のメジャー10個取ったって叶わないよね。もちろん、それもすごいことなんだけどね。渋野さんが勝ったことで、日本のゴルフ人気は5年は長くなったよ。そのくらい、大仕事だった。
大西：国民栄誉賞とかそういう話にしたいですよね。ゴルフ界から出て欲しい。それくらいのことですよ。首相官邸で青木さんが…。
青木：行ったら…、ピースやりますよ。誰か怖い人がいたらちっちゃくやります（笑）
一同：爆笑
青木：いや！でも、よく考えたら、僕は行かなくていいんじゃないですか！　彼女が表彰されるんだから！
大西：でも、「青木さんも来るでしょ？」って渋野さん言うんじゃないですか？
青木：絶対言う〜。
辻村：じゃあ、青木君には福岡県民栄誉賞出してもらうように段取りをつけよう。
青木：まぁ…、充分かな。
一同：爆笑
辻村明志（つじむら・はるゆき）/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残している。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。
青木翔（あおき・しょう）/1983年3月28日生まれ、福岡県出身。ツアープロを目指していたが、2011年にコーチ転身。ジュニア、プロゴルファーの育成を始め、12年に自身のゴルフアカデミーを設立した。渋野日向子のほか、過去には日本アマ優勝の亀代順哉などを指導している。
大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。プロゴルファーの大西葵は実妹。
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