<ダンロップフェニックストーナメント最終日◇24日◇フェニックスカントリークラブ(7027ヤード・パー71)>
雷雲接近のために2時間遅らせてスタートした最終日、コース近くに雷が落ちて中断すると、再開することなく中止が決定。54ホールの短縮競技となった結果、トータル10アンダーで首位に立っていた今平周吾の優勝となった。今季2勝目、通算4勝目だが、年間複数回優勝を飾ったのは自身初めての経験となる。規定により獲得賞金額は75パーセントの3000万円だが、通算獲得賞金額が1億5716万9312円となり、2位のショーン・ノリス(南アフリカ)に3719万9256円の差をつけた。残り2試合となるため、次週の「カシオワールドオープン」で2年連続賞金王が決定する可能性も出てきた。
オーガスタで幸せそうな笑顔を見せる今平とフィアンセ【写真】
「自分の中では4日間を戦ってこその優勝だと思っているので、できれば72ホールを戦って勝ちたかったですけどね」
今季初優勝を飾った「ブリヂストンオープン」が悪天候のため36ホールに短縮されていただけに、今回はきっちり72ホールをプレーしたかった。しかし、競技が成立している以上、どんなに短縮されようが、優勝は優勝である。堂々と胸を張るべきだろう。
実際、今年は23試合に出場し、トップテンが15回と今平の安定感は群を抜く。その理由は、自分の夢に少しでも近づきたいという強い気持ちにあるのではないか。
高校時代、米国へゴルフ留学をしているように、海外志向は昔からある。いつかは米ツアーの舞台で戦いたいが、そのためにはショット力はもちろん、ショートゲームに至るまでゴルフのレベルを上げなければいけないと考えていた。特にショットの精度を上げる意識は強い。数年前に持ち球をドローボールからフェードボールに変えたのも方向性をアップしたいからだし、今季の途中から右足に体重を残したままインパクトを迎えるスイングに改造しているのも、飛んで曲らないボールを打つためだ。
ニュースイングはまだ完成していないが、今大会では運のいいことに、初日、2日目を松山英樹、米ツアートップの飛ばし屋のキャメロン・チャンプ(米国)と同組でのラウンドとなった。2人とも右足に体重を残しながらインパクトを迎えるタイプだ。しかも、チャンプは今平と同じフェードヒッター。その弾道を目に焼き付けることで、自分のスイングに足りないものを補おうとした。
「ボクの場合、全体的なイメージを重視するんです。具体的にクラブをどう下ろしているとかではなく、クラブヘッドの軌道やボールの浮き上がり方、どれぐらい左に打ち出して右に曲げるかなど、そういうすべてを頭にインプットすることで、打ちたい球に応じた体の動かし方ができるようになるタイプなんですよ」
超感覚派であり、天才肌の今平ならではのスイング論ではあるが、いいイメージをつくれたことが、3日目の「66」につながり、最終的に優勝の要因にもなった。
過去、男子ツアーで2年連続賞金王を達成したのは、青木功、尾崎将司、中嶋常幸、片山晋呉の4人しかいない。当然、史上5人目の座を狙いにいくつもりだが、「賞金王は最終戦である日本シリーズJTカップの最終日、前半のハーフを終えたときに考えるようにしたいですね」と慎重な発言。今回の優勝でも慢心せず、自分の足元をしっかりと見ている今平だけに、その可能性は果てしなく大きい。(文・山西英希)
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