<LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 3日目◇30日◇宮崎CC(宮崎県)◇6535ヤード・パー72>
渋野日向子の上位進出で、賞金女王争いがよりし烈さを増した2日目のラウンド後。練習グリーンには遅くまでボールを転がす鈴木愛の姿があった。2日間を戦い終えて課題はグリーン上にあったからだ。「いいパットをしても入らない」。原因はコーライ芝にあるようにも思えたが、念を入れるため2つのチェックを行った。
鈴木愛のパッティングってどこがすごい?桃子のコーチが語る【連続写真付き解説】
1つ目はしっかりと体を使ってパッティングできているか。小手先だけでやっていれば転がりは悪くなり、芝目に負けてしまう。その確認をするため、鈴木は「1年ぶりくらい」というテークバックを行わずアドレスのままボールを押し出す練習を実施。「しっかりと体で押す感じができていた」とこちらは問題なし。
もう1つはパターが合っていないのではないかという疑問。鈴木は3連勝最初の試合となる「樋口久子 三菱電機レディス」から4試合続けて全ての日で、契約を結ぶPINGのレディース向けのパター『G Le2 ECHO』を使用してきた。しかし、これに問題があるのではとエースパター『PING VAULT Anser2』を再投入。前述した体で押す練習はもちろん、その後も球を転がして感触を確かめたが特に違和感はなかった。
こうして満を持して臨んだ3日目だったが…。「この3日間で一番流れをつかんだ一日でしたし、調子も悪くないのですが、とにかくパッティングが入ってくれませんでした」と好転せず。なんとか2つ伸ばしてトータル1アンダーの12位タイまで上げたが、女王争いのライバル・渋野が首位と2打差の3位タイにつけているだけにもどかしい。
「グリーンが例年よりも重たいので、切れ方がちょっと違うような気がします。ラインが合っていないのもあると思うのですが…。芝が長いのでちょっとしたところで切れる部分は、自分でコントロールしようがないですね」
そこまで苦しみながらも、女王の可能性を十分に残しているのはさすがといったところ。鈴木は単独2位以上なら文句なし。渋野、申ジエ(韓国)が単独2位でも、9位以上に入っていれば2度目の女王の座に就くことができる。首位とは6打差、2位とは5打差。十分に逃げ切りは可能だ。
女王争いの重圧ともうまく付き合えている。「3連勝する前はジエさんか渋野さんが勝つと思っていた人が多いと思う。最後もいい意味でそういった人たちを裏切って女王になれたらいい。ここまでこれたことを幸せに感じながら、あとはどれだけできるかですね」と一昨年に初めて戴冠したときのような気負いはない。
「人のことを考えても、人のことを願っても仕方ない。それでスコアが良くなるわけでもないし、自分が伸ばして終わりたい」と意気込む鈴木。キーになるのは、やはりグリーン上だ。「もう策はないです(笑)。これまで入っていない分、あしたくらいは入るだろうと思って頑張ります」。ようやく手をかけた女王の座。自らの手でもぎ取ってみせる。(文・秋田義和)
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