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9年ぶりの年間3勝にも“すっきりしない” 石川遼が見据える絶え間ない進化

<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇8日◇東京よみうりカントリークラブ(東京都)◇7023ヤード・パー70>
「正直、本当に勝てると思っていなかった」。これまでにないフェアウェイキープ率を3日目までに叩きだし、5位タイに立っても、まだ確信は持てていなかった。
パターもう宙を舞う! 優勝を喜ぶ石川遼【写真】
「キレイなゴルフはできないから、泥くさいゴルフを」と語っていた石川遼は、最後まで粘り強く優勝に食らいついていった。16番を終えた時点でトップの今平周吾とは1打差がついていたが、最終ホールで今平がダブルボギーを叩いて首位から陥落し、チャンスが舞い降りる。17番パー5でバーディを奪ってトータル9アンダーの単独首位に立ったが、難関18番パー3でティショットを右ラフに落としてボギー。ブラッド・ケネディ(オーストラリア)とのプレーオフにもつれ込んだ。
「あんなに泥くさい人いるかなと、へばりついていきましたね(笑)」と、3ホールに渡るプレーオフは接戦。正規の18番と同じ、右手前のピン位置で行われた最初の2ホールは、どちらも右に外したが、アプローチで寄せてしぶとくパーセーブ。ピン位置が右奥に切り替わり、4番アイアンで放ったティショットは手前2.5mのチャンスについた。これを沈めて今季3勝目。この日、18番でバーディを奪ったのは、石川が初めてだった。
「番手が5番から4番アイアンになって、たまたまいいショットができたけど、なんでなのか、片隅に引っかかっている」と、優勝の喜びをかみしめながらも、すっきりしない頭の中には次への課題でいっぱいだ。
今季は腰の痛みによるツアー離脱からシーズンをスタート。「中日クラウンズ」を途中棄権すると、実戦復帰したのは「日本ゴルフツアー選手権」。ひと月後の「日本プロゴルフ選手権」で3年ぶりの勝利を収めると、続く「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」で連続優勝と華々しいカムバックを果たした。ところが、シーズン後半に入り連続予選落ちを喫するなど、再び不調に陥る。「ドライバーがいいだけじゃ勝てない、アイアンがいいだけじゃ勝てない」と“海外メジャーで勝つ”という目標に向け、進化を求めていく中での低迷だった。
今週も理想とするスイングを求めて「試したいことがあった」と試行錯誤をする中での勝利だった。「なんのために(ゴルフを)やっているかって、自分のためにやっている。周りには申し訳ないけど、やるべきことをやって、喜んでくれる人がいるというのは本当に信じられない」。ウィニングパットを決めたあと、鳴りやまない歓声に両手を挙げて応え、控えめな笑顔を見せた。
昨年大会は、プレーオフに敗れて悔しさを味わった。「今まで16勝した中でも、今回は全く違う」と勝利をかみしめながらも、頭にあるのは“ゴルフ”のことだけ。「今年は優勝できたんですけど、まだ頭の中でひっかかっていることもいくつかある。3勝できましたけど、“今日はこうできたから、明日はこうやってみよう”という気持ちのほうが大きいですね」。2010年以来の年間3勝、史上最年少での生涯獲得賞金10億円突破という輝かしい勝利も、まだ目指すべき頂点にむけての途中過程だ。(文・谷口愛純)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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