オフシーズンの露出。プロスポーツの人気をはかるわかり易いバロメーターがこれだ。オフに入っても、テレビも新聞も雑誌もシーズン中と同じようにあるし、ネットニュースはなおさらだ。
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ネット社会になる前なら、メディアはトッププレーヤーのオフの動向を追いかけたし、ネット社会になってからは、自らポイント、ポイントで発信することもできる。この“自ら”というのは個人だけでなく、ツアー全体にも同じことがいえる。
野球やサッカーのようなチームスポーツなら、トレードや契約更改、海外挑戦。トレーニング(キャンプ)での調整などが基本となる。シーズン中は多忙なため、結婚するのもオフの場合が多い。動きが水面下に潜るため“番記者”にとっては気の抜けない季節でもある。
基本的に個人単位で動くゴルフの世界では、余計に動きは複雑だ。それぞれの選手の動向、契約変更、コーチなどスタッフの入れ替わり。海外、国内での調整の予定を把握しつつ、取材を進めていく。もちろん、本人たちがSNSで積極的に発信している場合もある。
渋野日向子の全英女子オープン優勝や黄金世代の活躍により、一気に人気を集めた2019年の日本女子ツアー。シーズン中はもちろん、オフに入っても渋野のドキュメンタリーが放送されたり、一日警察署長の制服姿が見られたりと、まだまだ露出は少なくない。年が明けると、成人式の振り袖姿があちこちで見かけられるが、その後は、ゴルフ雑誌以外ではあまりゴルフの話題が見られなくなるのが、これまでの流れだ。
もちろん、海外の試合に出場している場合は別だ。東京五輪出場を狙う選手たちが、できるだけ早くポイントを稼ぐべく、積極的に海外に挑むこともあるだろう。だが、これはオフの露出ではない。
メディアが積極的に取材しなければ露出できなかった以前と違い、イマドキは、いくらでも自分でアピールすることができる。他のスポーツやエンターテインメントも扱うテレビやスポーツ紙はとにかく、ゴルフ雑誌、ゴルフのウェブサイトなどは、とにかくネタ切れしないように選手たちのSNSを目を皿のようにして見ているはず。だから、積極的な発信をすれば、露出の頻度も高まることになる。
インスタのフォロワー数が、選手の人気をはかる一つの基準になりつつあるのが現在だ。たとえば、雑誌やムック本などで、意外な選手が取り上げられていたら、フォロワー数をチェックしてみるといい。
ツアーとしても同じことだ。海外の試合に出場している選手を積極的に取り上げ、結婚などの話題も本人が出していればツアーでも出せばいい。話題になること。露出すること。広報活動の基本中の基本だ。
こう考えてLPGAのオフィシャルウェブサイトを見ると、どんな感想を抱くだろうか。以前に比べればはるかに良くなった。だが、オフに入ってどれだけの情報がアップデートされるのか。今後の成り行きを見守りたい。
選手個人が、プライベートを大切にして露出を好まないのは本人の自由だが、ツアーとしてはそれではすまない。米国と欧州のツアーが提携するなど、風雲急を告げる世界女子ゴルフの世界。日本の女子ツアーはこの先、どう進んでいくのか。大人気の19年の後だからこそ、大事なのはこのオフシーズンと2020年。そのことを念頭に置けば、答えはおのずと見えてくるはずだ。(文・小川淳子)
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