<プレジデンツカップ 3日目◇14日◇ロイヤル・メルボルンゴルフクラブ(オーストラリア)>
6番パー3のティショット。グリーン右奥のバンカーに入れたパトリック・リード(米国)に向かって、『ナイスバーディ!』のヤジがとんだ。
こちらはオサレな地元ファン【大会写真】
オーストラリアが舞台となっている今年の「プレジデンツカップ」は、米国選抜にとってはアウェーゲーム。2年に1度のチーム戦に、観客の応援はいつも以上に熱が入る。声援の大きさは世界選抜が上回り、米国選抜がミスショットを打てば拍手や歓声が上がるのもご愛敬。フォアサムで2&1の勝利を収めたでゲーリー・ウッドランド(米国)は、「そういうものはシャットダウンして、まったく気にせずできた」と涼しい顔でやり過ごした。
観客からのヤジやブーイングも大会を盛り上げる大事な要素のひとつ。しかし、それは節度や選手へのリスペクトが守られてこそ。リードが6番のセカンドを1mにつけるナイスショットを披露すると、観客からは感嘆の拍手が贈られた。ところがこの後、リードに向かって、心ない一言が投げられる。
昨年の「マスターズ」制覇を含む米ツアー7勝の実力を示しながらも、気難しい言動から“ヒール役”となっているリード。先週の「ヒーロー^・ワールド・チャレンジ」では、“故意”ではないかと物議を醸したライの改善で2罰打を科され、優勝に2打届かなかったという経緯もあってか…。
本大会中でもそんなキャラクターがゆえに、他の選手以上のブーイングが浴びせられた。ところが、カートに乗ったリードに向けて、観客の一人がブーイングではなく暴言をはいた。これを聞いたリードのキャディがこの男性と言い合いになり、押したはずみに男性が持っていたビールがこぼれて問題となり、警備員の仲介で止められた。これを受けて、このキャディは最終日にバッグを担ぐことを禁じられた。「選手を守ることもキャディの勤め。他のキャディも、誰も私を責めることはできないはずだ」と語った。
リードはこれに対し「米ツアーの決定を尊重する。ただ勝つことに集中するだけ」とコメントを発表している。この問題を受けた世界選抜キャプテンのアーニー・エルス(南アフリカ)は、「我々がアメリカでプレーするときはもっとひどいヤジもある。そういうことがあっても、プロとしてやり過ごして、プレーをするだけ。ただ、選手に対してリスペクトのないヤジは意に反する。でも起きてしまうんだ」とした。
10大会ぶりの世界選抜優勝も見えて盛り上がる中でのひと騒動。最終日はどちらが勝っても、心から選手をたたえる声が響くことを願う。(文・谷口愛純)
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