賞金ランキングトップ10入りした選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2019”。第1回は2度目の賞金女王に戴冠した鈴木愛。史上3人目となる年間7勝を挙げたスイングを上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
インパクトゾーンに注目!鈴木愛 最新ドライバースイング【連続写真】
パッティングをはじめとするショートゲームのうまさに定評のある鈴木だが、ショットのスタッツも悪くない。パーオン率こそ26位だが、ティショットのうまさを表すトータルドライビングは9位。ショット全体のうまさを示すボールストライキングも13位とツアーでも上位に入っている。
そんな鈴木のショットで辻村氏がポイントに挙げるのが『3時から9時のいわゆるビジネスゾーンのうまさ』である。
「鈴木さんは3時から9時までの振り幅の間、グリップエンドは常に体の方向を指しています。そして手元の位置は体から近い。この2つが外れれば、クラブは寝て下から入ってきてしまう。鈴木さんはどちらかと言えば独特なスイングですが、この大事な部分をしっかりとでいているからボールに大きなブレが少ないのです」
このビジネスゾーンを作っているのが、鈴木がよく行うドリル。スプリットハンド(両手を5cm〜10cmほど離して握る)で打つ練習だ。
「手を離して握りグリップの向きや左手の位置を管理することによって、ヘッドがどこにあって、どこを向いているかが感じられるようになります。そしてスプリットのショットを繰り返すことによって、インパクトゾーンが低く保たれるようになる。手元が低くなれば必然的にインパクトゾーンは低くなる。インパクトゾーンが低く長くなることでフェースローテーションの管理がしっかりとできているので ショットに安定感が出てきます」。
特別な器具もクラブも必要ない。ただ、右手と左手を離して握って3時から9時の振り幅で打つだけ。「このスプリットで握ったときの感覚を自分の中に染み込ませることで、ショットの安定性は飛躍的に増すと思いますよ!」。まだ試したことないという方は一度やってみてはいかがだろうか。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。著書には『ゴルフ トッププロが信頼する! カリスマコーチが教える本当に強くなる基本』(河出書房新社)がある。
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