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圧倒的飛距離の源は振り遅れてもたたけるセットアップ 穴井詩の良さはタイミングバッチリの“リキみ”だった【辻にぃスイング見聞】

賞金ランキングトップ10入りした選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2019”。第4回は今季1勝、ツアー1の飛ばしを誇る穴井詩。とにかく飛距離が出ると評判のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
ツアー屈指の飛ばし屋として知られる穴井詩。今季の平均飛距離を表すドライビングディスタンス部門では、260.67ヤードをたたき出し堂々の1位。同部門が始まった2017年から3位、2位、そしてついにトップに立った。
大きな飛距離を武器に攻めのスタイルを貫く穴井。16年にツアー初優勝を挙げると、翌年も1勝。18年は未勝利に終わったが、今季は8月の「NEC軽井沢72ゴルフ」でツアー3勝目。遅咲きの大砲は、年々成長を見せている。
そんな穴井のスイングを辻村氏は「遠くに飛ばす要素がすべて詰まっている」と話す。「左手がフックグリップなのはジョン・デーリーのよう。トップでフェース面が空を向くほどのシャットフェースはダスティン・ジョンソンばり。そういう感じになっていて、飛ぶ要素が詰まっているんです」。
その飛ぶ要素を支えるだけの体の強さも一つの原因だが、そのほかにも飛ばしの理由はある。「肩甲骨の柔らかさが体の中での捻転を生んでいます。だからスイングスピードがとても速い。そして、その速いスピードで戻ってくるクラブが振り遅れてもいいように、アドレスの段階でつかまるようにセットアップしているんです」。極限までスピードアップし、若干の振り遅れ感が生まれてシャフトがしなり、さらに飛距離を出せる。そして、振り遅れたとしても、フェース面はスクエアに戻ってくるように最初から調整を加えているという。
その結果が、「フックグリップでフェース面をシャットに使い、 ハンドファーストにボールを捉えていく。フェース使いのうまさが備わって、大きな飛距離を生んでいます」と辻村氏も日本の大砲を賞賛する。
「以前はスイングにリキみがありました。リキみはよくないと言われますが、リキむタイミングが間違っていなければいいんです。つまりインパクトでリキむのは問題ない。爆発力を生み出すのはインパクトでのリキみです。力が入るポイントが間違っていなければいいんです。穴井さんも、リキむタイミングが分かってきたのではないでしょうか」
体の柔らかさ、それを使ったクラブのスピードアップ、そしてそのスピードに耐えられる状態をアドレスでつくっておく。決して大柄ではない穴井の圧倒的飛距離は、計算し尽くされた構えと動きからできあがっている。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。著書には『ゴルフ トッププロが信頼する! カリスマコーチが教える本当に強くなる基本』(河出書房新社)がある。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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