新型コロナウイルスの蔓延により、アスリートたちは覚悟と、突発事項への対応力をより、試されることになっている。
全英のウイニングパットを桃子のコーチが連続写真付きで解説
東京五輪イヤーの2020年は、前年の大みそかに世界保健機関(WHO)に報告された新型コロナウイルスとともに幕を開けた。感染はどんどん広がり、当然だが、ゴルフ界への影響もどんどん大きくなっている。
日本で大きく話題となっているのは、渋野日向子が出場予定だった2試合が中止になったこと。“震源地”である中国だけでなく、タイ、シンガポールで行われる米女子ツアーがすべて開催されない。日本ツアー開幕前に2試合に出場して上位に入れば、オリンピックランキングのポイントを稼げたのだが、それができなくなった。
渋野本人は、マネジメント事務所を通して「楽しみにしていた大会が中止となり、とても残念です。新型コロナウイルスの影響の拡大が一刻も早く収束することを願っております」とコメントを出し、日本の開幕戦に備えている。
4年に1度の五輪を最大の目標としている競技とは違い、ゴルフの世界では毎年行われるメジャーと言う大きな目標がある。4年前から五輪が加わったが、トップクラスの選手であればあるほど計画的な調整が必要だ。
だが、自然を相手にする競技であること、世界中への行き来が多いこと、シーズンが長いことなどから、予定通りに物事が運ばないのも珍しいことではない。
トップクラスの選手は、想定外の事態にうまく対処することを当たり前にしている。天候はもちろん、今回のような伝染性のトラブル、テロや戦争などの事件、自らの故障まで、あらゆる事態に対処し、結果につなげようとする。
東京五輪に向かって肯定的なことばかり書きたがるのが日本の大手メディアだが、現状を鑑みると、五輪そのものの開催中止すら、ないとは言えない。現状では、新型コロナウイルスへの治療薬ができていないからだ。7月の五輪だけではない。“震源地”中国から決して遠くない日本のツアーに影響が出る可能性もある。
様々な可能性を考慮しつつ、粛々と準備を整える。最終的に問われるのは、精神的、肉体的な柔軟性とタフさになる。メディアの見出しに使われるのは、トップアスリートの宿命だ。周囲からの期待や心配も耳に入りやすいが、大事なのはこれに振り回されないこと。各国ツアーや国際オリンピック委員会(IOC)、日本オリンピック委員会(JOC)の対応を見守りつつ、情報を取捨選択し、行動する。
その結果、うまくいかないことがあっても「○○のせい」「もし△△じゃなかったら」などと責任転嫁せずに受け入れ、次に進んでいく。渋野だけでなく、五輪イヤーにおける多くのプロゴルファーに降りかかった新たな脅威とその影響にどう対処していくか。意外に、今後へつながるものが見えてくるかもしれない。(文・小川淳子)
<ゴルフ情報ALBA.Net>