最新ゴルフニュース

「中止」、「延期」…暗い中にも光はある【舩越園子コラム】

新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がる中、米ツアーのジェイ・モナハン会長は彼らの旗印的な大会である「ザ・プレーヤーズ選手権」をなんとか続行させるべく、一旦は「2日目以降を無観客試合で開催」と発表。しかしその日の夜には前言を翻し、中止を発表した。さらに向こう3週間の合計4試合の中止も決めた。
中止発表が続くなか…女子プロからファンへのメッセージが届きました
その翌日。オーガスタ・ナショナルのフレッド・リドレー会長は「マスターズ」の延期を発表した。延期といっても、いつ開催されるのか、その時期は未定の状態だ。選手やキャディ、ゴルフファンにとっても、きわめてショッキングな決定だった。だが、命と健康を守るために必要な処置であったことは言うまでもない。
とはいえ、どうしても気持ちは暗くなりがちである。新型コロナウイルスの猛威はいつごろ終息するのだろうか？ ゴルフ界の今後や私たちの社会生活、そして世界情勢はどうなっていくのだろうか? さまざまな不安が広がっていく。
しかし、そういうときだからこそ、少しでも前向きな心を抱き、メンタル面からパワーを増大させていきたいと思う。ポジティブ・シンキングを心がけながらモノゴトを眺めてみると、試合が中止や延期に追い込まれている現状の中にも、案外、明るい光を見い出すことができて、ちょっぴりうれしくなる。
米ツアーの大会が中止され、マスターズが延期となった直後、ある米国人記者がSNSでこんな言葉を発信していた。
「いいことだってあるさ。これでタイガー・ウッズがマスターズのディフェンディング・チャンピオンでいられる期間が長くなる」
なるほど。そういう見方もある。そういう考え方をすれば、残念なニュースにも少しだけ微笑むことができる。
米ツアー選手のケビン・キスナーは、オーガスタ・ナショナルを擁するジョージア州に隣接するサウスカロライナ州の出身とあって、子どものころからオーガスタ・ナショナルに何度も訪れていたという。そんなキスナーは、今年のマスターズが延期になったことを知ったとき、もちろん残念に思ったが、すぐさま、ある期待を抱いたそうだ。
「ウインター・コース」と呼ばれるオーガスタ・ナショナルは、毎年10月上旬にオープンし、冬を越し、年が明け、春が到来すると、4月にマスターズを催し、5月下旬にはクローズするルーティーンで稼働している。
だが今年は、ウイルス感染の今後の状況次第ではあるが、延期されたマスターズが5月以降の夏から秋に開催される可能性が出てきたことになる。
「そういう時期のオーガスタ・ナショナルは、どんなコースになるのか。今まで見たことがないオーガスタ・ナショナルを僕は楽しみにしていようと思う」
見つけようという姿勢があれば、楽しみというものは何かしら見つかるものなのだろう。
そう言えば、プレーヤーズ選手権がたった1日だけで中止となり、選手や関係者が引きあげていった後のTPCソーグラスは、抜け殻のようになり、大会を支えてきた人々はがっくりと肩を落とした。しかし、いつまでも落胆しているわけにはいかないと気持ちを切り替え、すぐに次なるアクションを取り始めた。
そして、36ホールを擁するTPCソーグラスは、プロショップやレストランなどの諸施設を含め、早速17日から通常営業を開始することを決めた。
大会中止の発表から、わずか5日後にTPCソーグラスが再び動き始めるというニュースは、暗く沈んだゴルフ界に光をもたらす朗報だった。
そう、暗い中にも光はある。見つけようと努力をすれば、きっと光は見えてくる。どうしても見つからないときは、自ら生み出す努力をしたい。わずかな光であっても、そこに光がありさえすれば、道を照らしてくれるはず。今は、小さな光がいつか必ず大きな光になることを信じて、前を向いて進んでいこうではありませんか。
文・舩越園子（ゴルフジャーナリスト）
<ゴルフ情報ALBA.Net>