新型コロナウイルス感染拡大の影響で「マスターズ」の延期が発表されてから2日後。岩本芳弘カメラマンは「ザ・プレーヤーズ選手権」が開催されていたフロリダから北へ向かった。目的地はジョージア州・オーガスタ。マスターズ開催地としても有名なオーガスタ・ナショナルGCの様子を撮影しに車を走らせた。
松山英樹・2020年版の撮れたてドライバースイング【連続写真】
コースに入ることはできないが、外の雰囲気だけでも。そんな思いでオーガスタの町に入った14日の土曜日は、いつもどおりの風景が広がっていた。元々大会前で、人工20万人弱の町は、平穏に見えた。大学生の笑う声。フレンドリーなホテルの従業員。ところが、翌日、向かったスーパーでは、日本以上に非常事態を感じさせる光景が広がっていた。
国家非常事態が宣言された直後。オーガスタの町からは、さまざまな者が消えていた。町の様子を岩本カメラマンがリポートする。
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「一夜明けて3月15日。朝から小雨まじりのどんよりとした天気。外で写真を撮るような雰囲気でもない。町のショッピングセンターへ向かった。そこでみた光景は…、ない! ない! ない! 石鹸! 紙類! パン! 肉やパスタ、水にオレンジジュースも少ない!」
日本ではまずマスクが市場から消え、トイレットペーパーも店頭からなくなった。そんな状況は、非常事態のアメリカでも同じだった。
「冷凍食品、特にピザの箱の減り具合もすごい。非常時代宣言から3日目、これはまずい。14日に感じた町の雰囲気とは少し違って、買い物をしている人達の不安な様子が伺える。気になって別のスーパーにも行ってみたが状況は一緒。卵や牛乳がない。肉の加工エリアも稼働してない。最後のペーパーにあわてて手を伸ばすおじさんもいた」
マスターズ開催期間は町の人口が2倍に膨れ上がる。それでも物不足などは起こらない。直接的にマスターズとは関係がなくとも、ここまで物が少なくなるのは、マスターズの延期と同じように、先行き不透明な現状を売れているからこそ。不安な気持ちにさせられる。
「早く帰国しよう。この町やアメリカの町にある食料やトイレットペーパーを消費しないためにも」
感染者が拡大するばかりで、収束の見込みが立たないのは世界中どこも同じ。日本のツアーも中止が相次ぐが、いつになれば試合の撮影ができるのか。今年中にオーガスタに戻ることはできるのか。延期が中止となることだけは…。
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16日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は向こう8週間、50人以上が集まるだいき簿名イベントの自粛を呼びかけた。これにより、米ツアーは少なくとも5月9日までは中止・延期となる可能性がある。
世界最高峰のメジャー大会「マスターズ」を延期に追い込んだコロナ。どこまで猛威を振るい、どこまで市民を脅かすのか。スポーツ、そしてゴルフの力も今回ばかりは通じないのか…。
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