「スコアだったり目に見えているものを気にしすぎて、一番大事なところがスカスカだった。ちょっとヒビが入っただけで全部ダメになる」。永井花奈は昨シーズンをそう振り返った。賞金ランキング36位で賞金シードは確保したものの、2019年シーズンの最後の5試合中4試合で予選落ち。「模索したまま終わってしまった」
永井花奈も憧れるローリー・マキロイのドライバーショット【連続写真】
永井のドライバー平均飛距離は230ヤード前後で飛ぶほうではない。昨シーズンから上田桃子らを教える辻村明志コーチにスイングを見てもらい、飛距離アップに取り組んだ。それが本来の自分の長所を消してしまっていた。
「飛距離はある程度あったほうが戦いやすいのは確かです。でもプレースタイルがブレてしまうのは絶対にダメ。すべてのクラブで曲がらないというのが私の武器だと思うんです。だから飛距離を伸ばすことを最初に考えるのではなく、しっかりした軸のあるスイングを作った上で、自信を持って振れていった結果として、飛距離が伸びれば良い。そういう考え方に変わりました」。そんな永井が目指すのは「右足で押す」スイングだ。
「飛距離だけを求めると、ジャンプして伸び上がったりする。それではスイングの軸ができません。このオフに重点的に取り組んだのは、重心を上げずにどっしりとした状態で振ること。それから右足の蹴りです。ただ蹴るのではなく、地面をしっかり押していく。形とか結果にこだわると手先だけのスイングになって足が動かなくなってくるんです」
一般ゴルファーでも上がり3ホールでスコアを意識してくると、足が止まって手で当てにいくスイングになりがちだ。これでは曲がる要素が大きい。足を意識して打つための練習法を教えてもらった。
「私は歩きながら打つ練習をしますね。ボールの上にヘッドをセットしておいて、足を閉じた状態からスタートします。そして歩きながらボールを打つのです。大事なのはトップを作ったら、左足を踏んでから打つこと。足でタイミングを取って、手が先に行かないように気をつけています。そうすると右脚で押せる準備ができる。スイングスピードはいつもより遅くて良いですし、最初は素振りで地面を擦るだけでもいいと思います」
「目に見える外見や形ではない」と言い続ける永井に、スイングがきれいだと思う選手を最後に聞いてみた。すると少し考えてから言い出しにくそうに「絶対無理ですよ。無理なんですけど……マキロイになりたい。全身を使っている感じが好きなんです」。世界で一番飛んで曲がらない男は、ドライバーに悩むすべてのゴルファーの憧れです。
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