開幕の見通しがなかなか立たない国内女子ツアー。“女子プロ”ロスが続く状況ではありますが、逆にいえば今こそ開幕前に矢継ぎ早になだれ込んだギア情報を洗い直ときだ!ということで、気になるギア情報や今季の動向をプロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏に予想してもらった。今回は“プラチナ世代”のギアについて。今季ルーキーイヤーを迎える選手たちはどんなギアを使うのか。
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今回のコンテンツは賛否両論があると思いますが、プロの皆さんはこういう状況でもツアー開幕の準備まで自粛する訳にもいきません。かと言って、表立ってのトレーニングやキャンプは当然控えなければいけませんから大変だと思います。中でもルーキーイヤーの選手たちは、開幕戦からツアーの雰囲気や試合の中でクラブのフィーリングをつかむ期間を奪われてしまいましたが仕方ないというほかありません。という前提のもと、お話を聞いていただければと思います。
今季大きな注目を集めているプラチナ世代の皆さんですが、ギアに関していえば、アマチュア時代に使用していたメーカーと契約している選手が大半です。さらにいえば、大型移籍のときも話しましたが、この世代の選手たちはゴルフを始めた時からキャビティアイアンや大型チタンドライバーなど現代クラブを使っていた選手がほとんど。ですので、大きく性能が異なるクラブへの違和感や、メーカーとのコミュニケーションといった部分ではほとんど問題はないかと思います。
ですが、課題となりそうなのは新モデルの実戦テストをする機会が大幅になくなってしまったこと。シーズン序盤はそういった「試合で試す」という意味合いもありますから、かなりの影響があると思います。
なぜなら、昨年優勝した古江彩佳選手以外は前半戦の出場権のみの選手ばかり。リランキング制度がどのようになるか分かりませんが、そこまでに実戦で使う期間が短いとなると、結果として、長年使用していたクラブの慣れの要素を重視するセッティングで今年のツアーをスタートせざるを得ない選手も出てくることも予想されます。
一方で、新しいクラブでスタートする選手の場合はスペックの吟味や打ち込み等の準備がしっかり出来る時間が生まれたことも事実です。選手の中にはヘッドやシャフトに対する勉強をしたり、食わず嫌いしていたモデルに興味を持っている選手もいるかも知れません。
例を一人挙げると安田祐香選手は、2月上旬の住友ゴム工業との契約発表時にアマチュア時代から使用している『Z785』とゼクシオの新シリーズ『ゼクシオイレブン』どちらのドライバーを使うかはまだ決まっていないと話していました。ですが、それからもう2カ月が経とうとしており、実践での使用感以外の部分ではしっかりテストができていると思うんです。そう考えると、開幕でどちらを使ってくるかは非常に楽しみなところでもありますね。
また、アプローチ・パターは、家の中でも練習できてモデルの打ち比べもできるクラブ。プロの皆さんにとっては、ショットによるチャンスメイクよりもピンチをパーでしのげるショートゲームほど頼りになるものはありません。この機会にと様々なパターを試していると思います。
もうしばらく我慢が続きそうですが、選手たちも私たちもツアー開幕時には盛り上がって行けるようにゴルフを好きな気持ちだけは切らさずに持っていたいところです。
解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。
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