開幕の見通しがなかなか立たない国内女子ツアー。“女子プロ”ロスが続く状況ではありますが、逆にいえば今こそ開幕前に矢継ぎ早になだれ込んだギア情報を洗い直ときだ!ということで、気になるギア情報や今季の動向をプロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏に予想してもらった。
懐かしい!有村智恵が2009年に使っていたドライバー【写真】
今回は有村智恵が大型ヘッドの『RMX120ドライバー』を投入しそうだということ。2020年シーズンに向けたフィッティングで、「曲がらないから思い切り振れるようになり、数字もよくなった」とのことで自身のYouTubeにも登場させている。どちらかというと有村は小ぶりなモデルが好きな印象があったが何があったのか。そして合うのか。
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契約プロだから当たり前といわれるかもしれませんけど、僕も有村選手のビッグチェンジには驚きました。小ぶりで操作性の良いドライバーを使って、球を打ち分けていくイメージでしたから。
この『RMX120ドライバー』は、僕も昨年ラウンドテストで打ちましたが、飛ばない僕が短いパー4でグリーンオーバーしてしまい強く印象に残っているドライバーです。ご存知の通りヤマハが今までの開発を大きく変更し世に送り出した『RMX120』ですが、ミスヒットやブレを軽減するための大MOIヘッドにはシャープさよりもゆったりした振り心地があります。
ただし、完全にオートマチックというよりも少しだけ自分で操作できるハンドルの遊びがあるのが特徴です。ツアーも年々若い選手の台頭で飛距離に対する比重も高まってきたことで、操作性へのこだわりを重視しつつも求める性能のバランスに多少なりとも変化が出てきたのだと思います。
なんてったって“小ぶり好き”でおなじみのヤマハ契約の大先輩・藤田寛之選手も使っているわけですから。これ以上の説得力はありません。グリーンに近づくほど集中力が増すプレースタイルが持ち味の有村選手にとって、少しでも飛んで曲がらないドライバーとの出会いは間違いなくプラスに働くでしょう。ティショットへのストレスが軽減されれば、さらにアイアンの切れ味が増すでしょうからね。
ただ、ドライバーのヘッドスペックを変える際の注意点というか調整は必要になると思います。1つはシャフトの相性、特にクラブになった時の振り心地が変わるので今までのお気に入りシャフトにこだわりすぎないほうが良いという点です。この部分の調整には時間がかかるかもしれません。
もう1つは、セカンドショットで使うクラブも多少スペックの調整が必要になる可能性があります。『RMX120』ドライバーはヘッドスピードをアップさせて飛ばすというより、エネルギーの伝達が大きくなって飛ばすタイプのドライバー。女子プロの中でも特にクラブに仕事をさせるのが非常に上手い有村選手は、この辺りの長所を感覚的に引き出してくれるのではないでしょうか?
このように大きな実績のあるプロでも、慣れ親しんだクラブを替えるというより良い方向に持っていくんだということはアマチュアゴルファーのみなさんも大いに参考にしていただきたいところです。好みをあまり凝り固め過ぎずに色々なギアを見てみると、さらにレベルアップする意外な発見が出てくるかもしれませんよ。
解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。
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