今季から渋野日向子らを指導するプロコーチの青木翔氏に師事した三ヶ島かな。青木氏は三ヶ島の過去のスイングを「せっかく体は強いのに10%くらいしか使えていない」と評した。そこで、残り90%を使えるスイングにするべく、このオフから取り組んでいる。
これが左のお腹から動き出すミンジー・リーの切り返し!【連続写真】
タッグを本格的に結成して約4カ月。タイでの合宿を経て、スイングは見違えるようになった。特に変わったのは球筋だ。「自分ではドローだと思っていたんですけど、フェーダーだったみたいです」と思い切ってスイッチしたという。その手ごたえは上々のようで「毎年オフは焦るものなのに、今年は楽しみが多くて、逆に不安になります(笑)」と言い切っている。
だが、どうして青木氏は三ヶ島の球筋を変えたのか。「去年の10月の試合で見ていた時にいいショットのときは気持ちフェードがかかった球でした。なのに、後で球筋を聞いてみたら“ドローです”って言われて。“えっ!?”って思いましたよ(笑)」。青木氏には三ヶ島が自分をドローヒッターだと思い込んでいたため、手先で無理やりドローをかけにいっているように見えていたという。「ボールを左に置いて、かち上げるような感じでしたね」。
そんな青木氏が、三ヶ島にフェーダーのお手本として挙げたのがミンジー・リー。そもそもミンジー・リーとはどのような選手なのか。
オーストラリアのパース出身のミンジーは14年にプロ転向すると、ルーキーイヤーの15年に「キングスミル選手権」で早速ツアー初優勝を果たすなど、これまで米ツアー5勝。現在世界ランキングは8位につけている。ちなみに1996年生まれで三ヶ島と同じ年である。なかでも優れているのがショット力だ。パーオン率が18年は3位、19年は6位と米ツアーでもトップクラス。同じく米ツアーで戦う畑岡奈紗が「試合でも練習場でもいつ見てもスイングのテンポが一緒」と抜群の安定感を誇る。
青木氏はいう。「ミンジーはトップからの左サイドの動きが秀逸です」
具体的にはどういうことなのだろう。
「切り返しをしてから左サイドの腹筋から動き始めます。足はお腹につられて動いていくイメージです。これを左肩から切り返してしまうと、手の動きが詰まって前傾が起き上がる。弱々しい球しか出ません。だから左の腹筋なんです」
切り返しのチェックポイントは右足だ。「三ヶ島プロは自分がドローヒッターという意識があったため、右足で蹴る動きによって体が右に傾き、クラブが下から入ってきていました。右ヒザが前に出るのが良くない。それは左サイドの腹筋から動けていないということです。右サイドの動きが入らなければ、ミンジーのようにベタ足になりますし、体が浮かずに回り続けられれば手は勝手に低く下りてきます」。ショットがバラつく人は忘れずに頭に入れておきたい。
この動きを身につける方法として、青木氏が三ヶ島に行ったのが上体を抑えての切り返し反復練習。クラブを持たずにトップの位置を作る。その状態で誰かに左肩と右肩を抑えてもらい左の腹筋から切り返しの指導を始める。切り返しの動きを行ったらトップのポジションに戻ってもう一度切り返す。この動きを10回行って、ショット練習を行うのだ。実際、三ヶ島もこの反復練習を行うと、左の腹筋から切り返せるようになり球筋が見違えた。なお、この動きはかなりきついことも付け加えておく。
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