米国男子ツアー34勝、57歳のビジェイ・シン(フィジー)が下部ツアーのコーン・フェリーツアーに参戦する。6月11日にPGAツアーが「チャールズシュワブ・チャンレンジ」で3ヶ月ぶりに再開。しかし同大会は招待試合のため、現在ツアー通算20勝以上が得る“ライフタイムメンバー”(永久シード)としてプレーするシンは、残念ながら出場資格がない。そこで同週に再開する下部ツアーの「コーン・フェリーチャレンジ」にエントリーをしたというわけ。PGAツアーメンバーで同じ週の大会に出られない選手は下部ツアーに出る資格を有するから、出場はなんら問題はないのだが…
しかし、これにコーン・フェリーツアーで戦う35歳のブレディ・シュネル(米国)が噛みついた。
「ヘイ!ビジェイ。もしこの大会に出て賞金を貰ったら、ホンモノのクソ野郎だ!」とツイートすると大炎上した。シュネルが怒った理由は、下部ツアーがPGAツアーを目指して熾烈な戦いをしている場所だから。
すでにシュネルのツイッターは非公開となり、その詳細を見られない。中には「たった一人減るだけじゃないか」という反論もあったようだが、ショネルは「たった一人?一試合で得るポイントと賞金が若い選手たちにとってどれだけ重要か知っているか?彼はもうお金もキャリアも十分ある。あと1ヶ月待って、シニアのお友達とプレーすればいい」と論じた。
シンは現在、レギュラーのPGAツアーとシニアのPGAツアー・チャンピオンズの両方で戦っているが、シニアのPGAチャンピオンズツアーの再開は約1ヶ月遅く、7月31日開幕の「アリーチャレンジ」から。しかもコーン・フェリーの開催コースであるTPCソーグラスはシンのホームコース、コースが位置するポンテ・ベドラ・ビーチはシンの地元、一刻も早く実戦に戻りたかったのだろう。
なんとも大騒ぎになってしまったショネルのツイートだが、「“クソ野郎”は少々言葉がきつかったかもしれないが、ビジェイがコーン・フェリーに出ると聞いたときには大きく反応してしまった。ビジェイは出場するべきじゃないと強く思っている」と最後まで主張した。
ちなみに新型コロナウイルス感染拡大の影響で試合数が減ったことから、今年は下部ツアーからPGAツアーへの昇級がなくなってしまった。例年なら上位25名と、入れ替え戦を勝ち進んだ選手は来季からPGAツアーで戦えるが、彼らは少なくとももう1年、下部ツアーで戦いを続けることになる。シンの出場が良いか悪いかは賛否両論あるだろうが、先行きが見えない今の状況が大炎上を引き起こしたのかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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