トーナメント会場にいる関係者のなかで、一番近くでプロゴルファーのプレーを見ているのがプロキャディ。そして唯一ラウンド中にプロにアドバイスを送れる存在でもある。そんなプロキャディだからこそ、我々アマチュアゴルファーのスコアアップにつながる“アドバイス”を知っているのではないか。今回は、先の「韓国女子プロゴルフ選手権」で優勝争いを演じ2位に入ったペ・ソンウ(韓国)を昨シーズン日本で支えた李進伍氏。
■ショットに目が行きがちですが… ソンウはパッティングも一級品
昨年、日本ツアー参戦初年度ながらメジャー大会の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を含む2勝を挙げたソンウ。2018年の韓国ツアー賞金ランキング2位(1位は19年全米女子オープン優勝のイ・ジョンウン6)という実績はあったものの、過去2度韓国ツアーで賞金女王となっているキム・ハヌルですら初年度は1勝(賞金ランキング23位)だったように、いきなり日本で活躍するのは容易なことではない。なぜ、ソンウはそれができたのか。
李キャディは「ソンウプロはショットがとてもうまく、ショットメーカーのイメージが強いと思います。でも、パッティングも非常にうまい。そこが活躍できた理由だと思います」と見ている。
「なぜ、パッティングがうまいと感じるかというと、“自分の基準”を持っているんです。ホームコースのいつものコンディションで平らという状況ならば、『この振り幅で打てば5m(で止まる)』という明確な基準がある。ラウンド前の朝のパッティングでは、この距離感を軸に、その日のグリーンの状態を確かめて微調整するだけ。だから、ラインが読めなかったときでも縦の距離が大きくズレることがありません。最終戦の宮崎CCはコーライ芝でソンウプロはとても苦手だと話していました。それでもスコアを崩さず勝つことができたのは、芝目が影響してカップに入らなかったときでも大きくそれることがなかったからです」
ソンウの場合は5mだったが、「アマチュアの方は3mでも(距離感が)あるとないとでは、かなり変わると思います」と李キャディ。「ソンウプロも昨年は初めてのコースばかりでした。いろいろなコースでプレーすることが多い方ほど基準を身に付けておくとすごくいいと思いますよ」と話す。
■アマチュアもルーティンを大事に やるとやらないではアライメントに差が出る
前述したとおり、初めてのコースで戦うことが多かったソンウ。ではコースチェックではどこに気を付けていたのだろうか。
「メインはターゲットの確認ですね。たとえOBや行ってはいけない方向があっても、私は『あっちはダメだよ』とは言いません。やはりプロでも安全に行き過ぎてしまうなど、“ダメ”という言葉に反応してしまうからです。ですので、『あそこの木を狙っていこう』という風に、狙いどころの確認が多かったですね」
打つべきところを確認するのが大事ということは分かった。だが、ターゲットを決めたとしても、集中できないアマチュアゴルファーは少なくない。そんな質問をぶつけてみると、李キャディはプロアマなどの経験から「まず後ろから見てみるのはどうか」と提案してくれた。
「アマチュアゴルファーといってもルーティンは非常に大事。そのなかに『一度ボールの後ろからターゲットを見る』という動作を入れるといいと思います。アドレスのように正対してではなく、両目を使ってまっすぐ見るので、やっている人とやっていない人ではアライメントの精度がかなり変わっているように感じますね」
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