国内女子ツアーは、今週25日(木)に初日を迎える「アース・モンダミンカップ」でシーズン開幕となります。この時を待ちわびたファンの方も多かったと思いますが、それは先日、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が発表した“2020-21年シーズン”という1.5年間の長い戦いの始まりを意味します。では、この新シーズン、これまでと一体どんな点が変わってくるのでしょうか? 開幕前に、会見や資料からその内容をひも解き、少し予習をしておきましょう! 今回は『リシャッフル』を中心に取り上げていきます。
■選手の出場権についてさらに深掘りしてみよう!
前回は、20-21年シーズンに選手がどれくらい試合に出られるのかについて説明しました。軽くおさらいをすると…
●シード選手は、開幕戦から最小34試合〜最大40試合目までの出場権を保障(一部大会は除く)
●前年の賞金ランク51〜55位の選手は、開幕戦から21試合目までの出場権を保障
●QT(予選会)から出場する選手は、QTランクに応じて、開幕戦から21試合目までの出場権が、大会ごとに割り当てられる(最大で21試合に出場する選手も)
という内容でした。そして、この“保障期間”を終えた後の出場権がどうなるのかというと、ほとんどの選手が白紙になります。そして、ここで宙に浮いてしまった出場権を『リランキング』と『リシャッフル』という制度によって、それぞれの対象選手に改めて付与され直すことも決まっています。
■試合出場に影響する『リランキング』と『リシャッフル』
では、この2つの制度は、一体どんなものなのでしょうか? 名前は違えど、実はその“性質”については大差ありません。すなわち…
『JLPGAが指定した大会終了時に、それぞれの選手を獲得賞金額に応じて1位からランク付け。そのランクが良い選手から順に優先出場権が割り当てられる』
こういった内容です。もう少し詳しく説明すると、そもそもプロゴルフトーナメントは、大会ごとに出場人数が決められています。そして選手はそれぞれ、シーズン開幕時に『シード権』や『QTランク』といった、大会に出場するための資格を持っています。
例えば102人出場の大会の場合、シード選手には原則無条件でそのうちの1枠が与えられます。さらに主催者推薦の選手、エントリーのあった永久シード選手らが加わり、残った枠をQTランクの上位選手から順に割り振っていく…、選手はこのようなイメージで試合に出場します。
さて選手は「シーズン開幕時に…大会に出場するための資格を持っています」と書きましたが、この資格を、どこかのタイミングでもう1度見直しましょう、というのが『リランキング』と『リシャッフル』です。そして、選手の出場に大きく影響する制度の実施タイミングについては、以下のように定められました。
〇アース・モンダミンカップで今季ツアー開幕
↓
〇 21試合終了時に第1回リランキングを実施
↓
〇 そこから7試合後に第2回リランキングを実施
↓
〇 開幕戦から数えて34〜40試合後にリシャッフルを実施
つまり、こういう流れで選手によっては何度もふるいにかけられるわけです。
■複数年シード選手も“出場権争い”の対象に
では、この2つの違いはどこにあるのでしょう? それは『リシャッフル』が“シード選手も対象になる”という点にあります。今回はこのシード選手の出場権について知ってもらいたいので、『リシャッフル』を中心に説明させてもらいます。
2018年から始まった『リランキング』は、前年の賞金ランク51〜55位の選手と、QTからツアーに参戦する選手の出場権を振り分け直すために使用されてきました。しかし、シード選手は1年間のフル出場権を持っているため、シーズン途中でふるいにかけられることは今までありませんでした。
ところが今季は1.5年間の長丁場になることが決まり、試合数が本来に比べ増えることが想定されます。もし“フル参戦”のままだったら、去年シードを得た選手は単純に『ラッキー!』ということになってしまいます。そして、この“不公平感”を拭うためにも、シード選手も出場権を振り分け直すことが必要になったわけです。
リシャッフルを受けなくてもいい選手は、主に『今シーズンの優勝者』と『永久シード選手』くらい。今季の大会で優勝した選手については、最終戦までの出場権が確定することがすでに決まっています。そして、ここで大きなポイントがあります。それは“複数年シードを持つ選手”も対象になるということです。
例えば、昨年の賞金女王・鈴木愛プロや、昨年メジャー大会を制した渋野日向子プロは、その恩恵で3年間のシードを得ましたが、現時点ではリシャッフルの対象選手となります。万が一、今シーズン大きく調子を落とすようなことがあれば、来年終盤の出場権を失う可能性もあるというわけです。あと、もちろんリランキングを乗り越えた選手もリシャッフルにかけられます。
ちなみにシード選手の出場保障、すなわちリシャッフルまでの期間に“34試合〜40試合後”と幅を持たせているのは、まだスケジュール的に不確定要素が多いからというのが大きな理由。そもそも34試合を行うことができなければ、リシャッフルを実施しないという意向もJLPGAは明かしています。
この後、中止が発表されていない試合が予定通り行われ、かつ来年の大会が今年同様にあったと仮定した場合、リシャッフルの実施時期は、最短で来年7〜8月頃が見込めます。暑さが増す時期に、シード選手も巻き込んだ出場権争奪戦が熱いドラマを生みだすかもしれませんね!
(上記の規定等については、今後の情勢などによって、変更になる場合がございます)
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