<JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント 2日目◇10日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)◇6766ヤード・パー70>
優勝した22歳の関藤直熙(せきとう・なおき)や、2位に入った24歳の和田章太郎など、若手の活躍が目立った「ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」。その中で47歳の片山晋呉が2日目に「64」を出して、5位タイに食い込んだ。昨年から取り組んでいる新スイング、そして契約フリーとなって探しているエースドライバーと、常に新しくて良いものを探し続けて、その成果が出始めている。
今大会で片山は3本のドライバーを会場に持ち込み、朝の練習場で試し、その日のクラブを選んでいた。初日に握られていたのはテーラーメイドの『SIM』。関係者の話では、片山用に少しアップライトにして、ヘッドの重りを軽いものに変え、フェース寄りの重心を落とすことで、つかまるように調整してある。
ところが2日目に握っていたドライバーは昨年も使用していたPINGの『G400 LS TEC』だった。ラウンド後にインターネット中継のスタジオに呼ばれた片山はこう答えている。「朝練習しているときに雨が降っていたので、球が上がりやすいほうがいいなと思って持ってきたんです」。それが見事にはまって、1イーグル、4バーディで6つスコアを伸ばした。「試打会だから毎回違う」とも言っている。
その後、スタジオはスイング改造の話題に。解説で座っていた倉本昌弘は「変わったように見えるくらいスイングを変えるっていうのは、我々プロにとってあり得ないことなんです」と驚く。
片山はスイング改造の経緯について、「僕はプロになって25年目くらいですけど、こんなに変えたのは初めて、というくらい全然違うことをやっていますね。PGAツアーでプレーしている選手の足の使い方のデータを見せてもらったら、自分とあまりにも違いすぎた。僕のは足が使えていなくてもったいないというデータだった。どうやったら地面反力の数字が上がるのかというのを考えて、新しいのを取り入れなきゃいけないと思って始めたんです。それに僕は同じことがずっとできない。新しいことのほうが練習できるし取り入れられる」と語る。
片山がスイング改造に着手し始めたのは、昨年の2月。最初からうまくいったわけではない。「僕は20年以上プロでやってきて、年間でOBを平均3発くらいしか打っていないのに、1日3発とか出るようになった。それでも変えようと思ったんです。やり始めて1年半。だいぶ弾道と自分の感覚が合ってきた。試すのには最高の2日間でしたね」。痛みを伴った時期を乗り越え、ようやく形になってきている。
一番変わったのは足の使い方だ。もともと片山は「体が小さくても距離を出さないといけないので、揺すって揺すってという感じ」で左右への体重移動を大きく使っていた。「一番意識しているときは、バックスイングで9:1の右足体重だった。それがPGAツアーの選手たちのデータでは、6:4か5.5:4.5という数字を見せられた。今はできるだけスタンスの幅の中で回転させるほうが飛んで曲がらない。それがデータで証明された」と自身のYouTube『片山晋呉チャンネル』で解説している。
スイング改造の成果は、ドライバーの飛距離ではなく意外にもパー3で感じている。「若い選手とパー3を回ったときに、番手が一緒か僕のほうがちょっといくときもある。だいぶ飛距離が出てきたなっていう感触はありますね」。これには倉本も同意する。「ティアップしているものって年齢がいって力がなくなっても打てるんですね。でも地面から打つロフトの少ないクラブの方が距離は落ちてくる。そこが伸ばせるっていうのはかなりいい方向に動いているのかな。私も65歳にもなるとすぐわかりますよね」。
片山も切り返す。「そういえば10年前に(倉本)先輩と話をしたときに『3番ウッドが上がらなくなったら気をつけろ』って言われていたんです。それがずっと頭にあって意識していますね」。
実は片山の3番ウッドは「去年の4月くらいにゴルフパートナーで6800円くらいで買いました。それをリシャフトして使っている」という。契約フリーとなって量販店だけでなく、中古ショップにも足を運んで「状態が良い古くていいもの」を探しているというから驚きだ。
最後はサービストークなのか、「今回稼いだ賞金でまたゴルフパートナーにクラブを買いに行きます」と締めるあたりも、片山らしかった。(文・下村耕平)
<ゴルフ情報ALBA.Net>