16日、塚田陽亮が大会2日目に「62」をマークして、トータル14アンダーで優勝した。といってもこれはツアー競技ではない。片山晋呉が試合のない男子プロのために企画した試合の話。片山の呼びかけで集まった9人のプロが、2日間のミニトーナメントでトータルスコアを競い合った。初日の15日はカレドニアン・ゴルフクラブ、2日目の16日は浜野ゴルフクラブ(ともに千葉県)で行われた。
片山晋呉がフットワークを変えて飛距離アップ!【ドライバー連続写真】
第一回大会は4月に開催。今回は第二回となる。参加したプロは、片山を含めて横田真一、塚田陽亮、大槻智春、木下裕太、竹安俊也、森本雄、菅谷拓、宮崎隆司の9名。ツアー優勝経験者が5人も名を連ねる。“試合”なので優勝者から最下位の9位まで賞金が出る。片山曰く「優勝賞金はその辺の2日間の試合よりは大きいです。ビリでもプレー代くらいにはなる」とのこと。賞金は片山の考えに賛同する久田和広氏のほか、何人かの支援者が協賛している。この試合を始めたきっかけは何だったのか。
「男子は試合がない状況で、僕がプロたちに声をかけて、協力してくれませんかというところから始まりました。1日だとコンペになってしまうので、ギャラではなく賞金が出る2日間の試合をやりたかった。プロ同士で『明日ゴルフに行こう』っていうのとは違うんですよ。賞金がかかっているからプロとしての本能が出てくる」と片山は言う。
実際、片山と横田は同じ茨城県の水城高校ゴルフ部の先輩後輩の間柄(横田が1つ先輩)だが、全員が仲良しで集まったわけではない。大槻智春と森本雄は、前週の「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」で片山と同組になったときに、片山が声をかけて今回参加している。だから、試合さながらの緊張感がある。
また片山は、2日間の形式にこだわっている。「1日では上手くならない。それに1日だとまぐれがある。2日間でもまぐれはあるんだけど、いろんな色気が出てくるわけです。初日が終わって明日はこうしてみようとか、流れも生まれますよね」。しかし、途中のスコアはどうやって確認するのだろうか。「何となくです。ハーフのお昼休憩とか、ホール間でも詰まったときとか、すれ違ったときに確認したり」。
2日目の最終組で回っていた片山は、最終ホールのバーディパットを決めれば、首位でホールアウトしている塚田に並ぶところだった。そこでは全員がグリーンに集まっていたので、大事なパットだと分かって打てていたのだ。人数は少ないが試合の雰囲気があった。
この試合の意味は「ただお金を稼ぐ」というのとは違う。参加した男子プロたちに共通するキーワードは“試合勘”と“モチベーション”だ。竹安は「試合感覚で2日間できたことに感謝しています。試合がないと練習にも身が入らない」、木下も「試合のスケジュールが先行き不透明なので、どうしても練習に身が入らないし、ただ練習するだけになってしまう。今日のような試合があると分かっていれば、しっかり練習しようという気になります」。優勝した塚田も「試合勘というのは試合がないと、どんどん衰えていく。若いプロや先輩プロと一緒に回って見られている緊張は試合でしかできない」という。
また、森本は自分の位置が分かったと言っている。「今の自分のゴルフが周りと比べてどうなのか。今日は良くもなく悪くもなくという感じで3アンダー。塚田さんは10アンダーですごいスコアを出してくる。地元でやっていたら3アンダーでも良いスコアになっちゃう。やっぱりもっといいゴルフをしないとダメだなって再確認できました」。
さらに試合という形式でありながら、教えたりすることもできる。大槻は「今日は晋呉さんと回って体の使い方を教えていただきました。これから練習していく中で、すごく良い材料になった」と刺激を受けている。試合感覚の中で普段練習している技術を試せるだけでなく、トップ選手同士で回ることで若手の成長にもつながっているようだ。
片山はこの試合を第三回、第四回と続けていきたいと考えている。「理想は20人で3日間の試合ですね。それくらいならあまり負担はかからない。大きくなりすぎてしまうと、自由もきかないし、今の状況では難しい。もし男子プロを集めて試合がしたいという方は、連絡をお待ちしています。早速昨日メッセージが来たんです。プロの組にアマチュアが入っても良いし、どんなふうにやりたいかは、その方の思いを聞いて合わせられると思います。コロナが収束した後も開催したいですね」と語る。
片山たちはハーフターンのときやラウンド終了後には、ゴルフ場のお客さんとの写真撮影に応じていた。もしかしたら次はあなたがプレーするゴルフ場で、片山の試合が行われているかもしれない。
「第二回 晋呉 Presents 久田カップ」成績
優勝 塚田陽亮 -14(68、62)
2位 片山晋呉 -13(67、64)
3位 横田真一 -12(65、67)
4位 竹安俊也 -9(64、71)
5位 大槻智春 -8(64、72)
6位 森本雄 -4(71、69)
7位 木下裕太 -2(70、72)
8位 菅谷拓 0(73、71)
9位 宮崎隆司 +5(73、77)
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