6月に行われた今シーズン初戦の「アース・モンダミンカップ」で5年ぶりに優勝し、8月14日(金)に開幕する「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で2試合連続優勝を目指す渡邉彩香。長きにわたりスランプに苦しんだ長距離砲はいかにして苦難を乗り越えたのか。今回はレジェンドたちの助言とこれからについて。
苦しい状況だった2019年の夏に川口淳キャディの紹介で中島規雅コーチと出会った渡邉。同じころメンタルトレーニングも始めた。インターネットを見ているなかで、目にした鈴木颯人氏に直接コンタクトをとり、話を聞いたことで、気持ちの部分でも球が曲がることを恐れなくなってきた。
さらにレジェンドたちの助言も励みになった。丸山茂樹からは色々な話を聞き、「大変なのは自分だけじゃない」と考えられるようになった。さらに「ケガに強い、体が強いのも一つの才能」だと言われたことも前向きに気持ちさせた。
そして同じく慕っている福嶋晃子からは「飛ぶのには多少の曲がりはついてくる。でも最大の武器」と同じ飛ばし屋としてのプライドや心構えを説かれた。こうして慕う先輩たちの一言一言がポジティブになる要因の1つとなったことは言うまでもない。
こうした自身の努力と多くの支えによって着実に渡邉は輝きを取り戻していく。19年10月には質の高いフェードが打てるようになった。目標としていた“曲がり幅”のイメージができるようになってきたのだ。「まずは試合で気持ちよくフェードを打ちたいと思っていました。以前よりも2段階くらい上がった感じです」とスランプの前に戻すどころかさらにレベルアップした。
そうして迎えた今季初戦。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、6月まで開幕がずれこんだが、いいイメージはずっと保ち続けていた。もちろん、1球目は不安もあった。だが、そんなティショットはラフに入ったものの、「イメージ通りの球を打てました。大丈夫。楽しくできる」と確信できるほどのものだった。
そのまま笑顔でプレーした72ホールには、優勝という最高の結果がついてきた。「どんなに曲がったショット、プロじゃないようなゴルフをしても応援し続けてくれる人たちに優勝を見せられて本当にうれしかった」。自分がよかった、という以上に周りに喜んでもらえたことが何よりもうれしかった。
「年内にもう1勝して、全米女子オープンに出場できたらいいと思っています」。苦しい時期を乗り越えさらに強くなった和製大砲。1カ月半ぶりに行われる軽井沢での戦いではどんなショットを見せてくれるのか。
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