<AIG女子オープン 3日目◇22日◇ロイヤル・トゥルーンGC(スコットランド)◇6649ヤード・パー71>
栄光のメジャー女王を目指す戦いもいよいよ最終章。大会最終日に好位置で向かう選手のなかに異色の選手がいるのをご存じだろうか。リンジー・ウィーバー(米国)、26歳。米国女子ツアーでも目立った成績はないが、今回はなんとセルフカートで、キャディをつけずに奮闘している。
石川遼は担ぎで試合に出場【写真】
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米国女子ツアーは再開後、『キャディをつけなければならない』規定を変更。転戦が当たり前のツアーの中で、帯同キャディを伴わずに戦う選手の中には、現地のローカルキャディを採用する者もいたが、他人との接触を避けるため今季残りはローカルキャディは禁止。セルフプレーも“可”とした。それが、メジャー大会でも…、さらに上位争いまでするのだから、注目が集まるのも無理はない。
ウィーバーが使うのはジュニア時代に使っていたというカート。自宅の倉庫に眠っていたものを引っ張りだし、ツアー再開後の大会で使用している。それをイギリスまで持参して、孤独な戦いに挑んでいるというわけだ。
「基本に戻った感じ。ジュニアのゴルフはこんな感じだった。シメトラツアーはこんな感じだったし、キャディがいても最終的には自分が決断する。ゴルフに変わりない」と、カートを押してのリンクスゴルフを楽しんでいるようにも見える。
首位と2打差の4位タイからスタートした3日目は3バーディ・3ボギーの「71」。スタート時と同じトータル1オーバーに踏みとどまり、初優勝が狙える位置で日曜日を迎える。
昨年からツアーに本格参戦したが、予選通過はわずかに6試合。撤退することも考えたというが、今季出場権をかけたQスクールで5位に入りツアーメンバーとしてもう1年の機会を得た。2週前の「マラソン・クラシック」では9位タイに入り、先週の「スコットランド女子オープン」でも予選は突破。今大会も出場資格が大きな荷物を持参した甲斐はあった。
2日目にはポットバンカーにカートが落ちるハプニングもあったが、不自由は感じていない。婚約している米国下部のコーン・フェリーツアーでプレーするザック・ライトの「スコットランドでキャディしようか」の申し出を断り、一人旅を選んだ。今週の彼氏は倉庫から連れて来た手押しカート。まさかの“セルフプレー制覇”はあるのか。新たな歴史がメジャーに刻まれるかもしれない。
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