まさに圧巻のゴルフだった。2打差から首位を追ったブライソン・デシャンボー(米国)。4番でバーディを先行させると、8番でボギーも、9番パー5ではド派手なイーグル奪取。折り返した11番でもバーディを奪い、頭一つ抜け出した。
「9番でイーグルを獲ったときは、これでいけると思った。でもバックナインに入ってから、気を取り直した。ひとホール、ひとショットを大事に行こう、と」
気が緩むことなく進んだサンデーバックナイン。一つのボギーを叩くこともなく、上がってみれば「67」はこの日ただ一人のアンダーパー。4日間通算でもアンダーパーは一人。2位に6打差をつける圧勝だった。
「まだ信じられない。まず両親に感謝。そして、チームに感謝したい」と笑顔がはじけた。データを科学的に分析、そして今年は肉体改造にも取り組み、現在の体重は105キロ前後。そこから生まれる飛距離は今ではツアー屈指。加えて、「ツアーに出たころは下手くそだった」というパッティングも年々改善。オールラウンドプレーヤーとして、大きな成長を遂げてのメジャー初制覇だった。
ホールアウト直後は、クラブハウス前の大型スクリーンに両親の姿が映った。これを見たデシャンボーは目からつたう涙を拭った。「両親は…、僕のためにいろいろなことを犠牲にしてくれた。僕にとって一番だと思ったことをしてくれた」。独自理論で突き進む息子を支え続けてくれた二人に心からの感謝と、チャンピオンとしての喜びをうれし涙で伝えた。
これで全米アマチュア選手権、全米大学選手権個人戦、そして全米オープンのタイトルを手にした。過去、この偉大な3冠を達成したのは、ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズ(ともに米国)のみ。「一生感謝したい」と、偉大な先人に並ぶ快挙に白い歯を見せた。
<ゴルフ情報ALBA.Net>