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“ニアミス”連続のシーズンを終えた松山英樹　幻のアジアシリーズで再びトップに返り咲くか【PGAツアー公式コラム】

今年3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」。最後に25フィートのイーグルパットを華麗に決めて「63」をマークした松山英樹。TPCソーグラス・スタジアムのコースレコードを叩きだして首位発進を決めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2日目以降が中止。自身初となる大会制覇は露と消え、それきり、今年はなかなか目立った活躍を見せられずにいる。
松山英樹の最新クラブセッティング！【写真】
プレーヤーズ選手権後の13試合もコロナ禍ですべて中止。例年通りに大会が行われていたならば、3シーズン連続での未勝利期間にも終止符をうち、年間王者も夢ではなかったかもしれない。松山の2019-20年シーズンはトップ5が4度で、そのうち1戦は「BMW選手権」での3位タイ。シーズン中の成績としてはベストだが、目標はもちろん優勝だ。
松山にとってもっとも惜しまれる大会は、シーズン序盤のアジアシリーズだったかもしれない。「CJカップ」で3位タイ、翌週の「ZOZO Championship」ではタイガー・ウッズとの激闘のすえに単独2位に入るなど、優勝への“ニアミス”が数々あった。ZOZOの大会後に松山は「来年はここでリベンジしたいですね」と活躍を誓ったが、コロナ禍で日本でのリベンジは叶わぬものとなった。今年は日本から舞台を移し、カリフォルニア州のシャーウッドカントリークラブでの開催に変更。例年であればCJカップから韓国・日本・中国とアジアでの大会が行われるはずだったが、今年は米国ネバダ州、カリフォルニア州での開催となる。
昨年、ジャスティン・トーマスが制した「CJカップ」の会場は、昨年の済州島ではなくラスベガスのシャドークリークゴルフコース。その前週には「シュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレン・オープン」がネバダ州TPCサマーリンゴルフコースで行われた。
「CJカップは、ツアーの中でもお気に入りの大会になった」とトーマスは語る。19年大会では、松山に5打差を付けて優勝した。「2度優勝したという事ももちろんそうだが、CJグループと韓国の皆さんの手厚いもてなしが、PGAツアーの選手全員にとって大会を特別なものにしてくれた。今年は残念ながら韓国を訪れる事が出来ないが、場所は変わっても今年もCJグループにスポットライトを当てる事ができて、うれしく思う」
今年のCJカップの会場であるシャドークリークは、1989年に有名設計家のトム・ファジオのデザインによって完成した名門ゴルフコース。18年のウッズ対フィル・ミケルソンの勝者総取り戦の一騎打ちの舞台となったことで有名だ。
「何もないただ平坦な砂漠の土地を、山脈に囲まれたカロライナかと見まがうほどの景色に創り変えるなんて、並大抵のことじゃないよ」と、会場について訊ねられたウッズは答えている。「まるでユートピアのようなこの景色を造り上げるには、オーナーとしての信条の強さと、この土地に描いていたビジョンが明確だったからだ。本当に、素晴らしいと思う」。
会場は変わっても、大会の実施内容はすべて同じ。参加選手は総勢78人。アジアンツアー賞金ランキングの中で韓国勢トップの選手と、KPGAが指名する最大5選手、加えて世界ゴルフランキングの韓国籍上位3選手が参戦できる。この出場枠は、CJグループの韓国プロゴルフ界の発展に協力したいという思いからだ。
19年はアン・ビョンハンが6位タイという成績で韓国勢を引っぱり、K・J・チョイが16位タイでまだまだ若い選手たち相手にも戦えるということを証明した。
「この大会で初めてプレーする韓国人選手の多くは戸惑うと思う」と、キム・シウは19年に語っている。「自国開催のトーナメントで、いわば地元。応援してくれるファンの多さにまず驚く。僕自身は年々慣れていったけど、韓国人選手の優勝者も増えると思う」
その翌週には、シャーウッドカントリークラブで開催されるZOZO Championshipをもって新アジアン連戦は幕を閉じる。同クラブは、00年から13年までのあいだ、ウッズ主催の「ヒーロー・ワールドチャレンジ」の大会開催地だった。ウッズはこの大会で5度の優勝を手にしている。また、1999年にはデビッド・デュバルとのプライムタイムテレビ対決をシャーウッドで行い、そこでも勝利している。
このコースはジャック・ニクラス氏のデザインによるもので、89年から99年までのあいだ、グレッグ・ノーマン主催の「シャーク・シュートアウト」や、16年に始まったPGAツアーの「インベスコQQQチャンピオンシップ」の会場にもなった。
CJカップ同様、出場選手78名でZOZO Championshipは行われる。同大会は日本ゴルフツアー機構が選出した選手や、スポンサー推薦枠の選手が出場するほか、日本各地のチャリティ企画なども行われる。その売り上げは新型コロナウイルス感染症対策支援をはじめ、多方面のチャリティに寄付されるという。
両大会は無観客で開催される予定で、ツアーが6月に再開して以降、実行しているガイドラインに沿って開催される。
「昨年のZOZOでも、1ラウンドを無観客でプレーした経験があるので、今年のこの状況に近いものを一度体験している」と松山は語った。「でも、またファンの皆さんが戻ってきてくれることを願っていますし、その時は皆さんにいいプレーを見せたいですね」
予定通りにいけば、松山は21年のZOZO Championshipでは、日本の観客の前でプレーする事になりそうだ。PGA ツアーは、来シーズンはアジア連戦の3戦すべてと、今年は開催中止となった世界ゴルフ選手権シリーズ「WGC-HSBCチャンピオンズ」 (上海)も、元の開催地に戻す予定だ。
「WGC-HSBCチャンピオンズは、中国全土とアジア全域におけるゴルフというスポーツの人口拡大、発展や推進に大きく貢献してきました」と、PGAツアーインターナショナル、エグゼクティブ・バイス・プレジデントのタイ・ヴォトーは語る。「今年は世界のトップ選手を上海にお迎えできないのは本当に残念でなりませんが、HSBCが2009年に世界ゴルフ選手権の一戦となった時からこの大会を良いものにしようと支え続けてきてくれたHSBCをはじめ、中国ゴルフ協会や中国のゴルフファンの皆様に感謝の思いでいっぱいです」。
今年、アジアで松山の活躍を見ることは叶わないが、現時点でいえるのは、松山のPGAツアー優勝という目標はトーナメントの会場がどこになろうと変わらないということだ。
「徐々にですが、確実に、どこをどう変えたらいいかとか、何が間違っていたのかが分かりはじめている」と、「BMW選手権」の後に松山は話した。「時間はかかりましたが、だんだんそれを理解して、いいプレーができるようになってきた。このままさらに良くなっていくという自信が持てるようになればいいなと思う」。　Chris Cox/PGA TOUR
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