<伊藤園レディス 最終日◇15日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6741ヤード・パー72>
首位タイからスタートした“プラチナ世代”のルーキー・古江彩佳が、トータル12アンダーで並んだ酒井美紀をプレーオフ(18番パー4繰り返し)で退け、9月の「デサントレディース東海クラシック」に続く今季2勝目を挙げた。
誇らしげにカップを掲げる古江彩佳【大会フォト】
3ホール目までもつれこんだ1対1の“死闘”に、あとわずかでショットインイーグルというスーパーショットでケリをつけた。残り161ヤードのセカンドショットで7番アイアンを振り抜くと、ボールはグリーン中央に切り直されたピン目がけて飛んで行った。
「打った感じはすごくよかった。縦距離は分からなかったけど、ラインには乗ってるかなって。(見ていた)スタッフさんなどの歓声も聞こえて、近いんだなと思いました」
ピン手前に着弾すると、コロコロと転がったボールはカップの上を通過。惜しくも直接カップインとはならなかったものの、これがベタピンに。続くバーディパットで、楽々これを流し込んだ。決着をつけるとキャディとヒジタッチした後、酒井に一礼。「うれしいという気持ちもありましたが、トップで出てそのまま優勝できてホッとしました」と、安堵感のほうが大きい通算3勝目(アマ1勝も含む)となった。
2試合連続となるプレーオフで優勝をつかんだ。20歳とは思えない精神力はさることながら、その技術力には驚かされるばかり。若きショットメーカーらしいプレーオフの一打もそうだが、卓越したアプローチもキラリと光った。その1つのシーンが最終日の7番パー3にあった。
ここでのティショットはグリーン左に外れ、ピンまで下り15ヤードの距離を残した。力加減を間違えれば、ピンから一気に離れる、そんな状況だ。この場面で58度のウェッジを握った古江は、チョコンと軽く打ち出す。「3.5ヤード」ほどキャリーで進んだボールは、一瞬カラーで止まりそうになったが、そこから傾斜を下ってカップ方向へ。これが1メートルほどの場所にピタリと寄って、きっちりとパーを拾った。
思わずうなってしまうような技を見せたが、本人は「アプローチは得意じゃないです。まだまだだと思ってる」とあっけらかんと話す。その強化のため、今週は練習場で8ヤードほど先に置いたカゴにウェッジでボールを20球入れる「遊びも兼ねた」練習も続けた。「入れないと“帰れま10”って言いながらやってました。10球は上げて、10球は58度を使って(高さを出さずに)入れる」というドリルで磨きをかけた。
日頃から「ゴルフを楽しみたい」とよく口にする古江だが、その精神はこんな練習にも表れ、そして結果へとつながっている。今年残っている国内ツアー2試合への意気込みを聞かれても、「変わらず楽しんでいければいいなと思います」という答えを返すだけだ。その言葉通り、今週も終始笑顔でプレーを続けた。しかし、きっちりと“強い古江”も印象づけた、そんな圧巻の優勝劇だった。(文・間宮輝憲)
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