<大王製紙エリエールレディス 2日目◇20日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6545ヤード・パー71>
ドラマチックガールが地元・愛媛で劇的なプレーを見せた。2日目終盤、河本結は16番を終えてトータル3オーバーと予選カットラインを下回っていたが、17番でイーグルを奪いトータル1オーバーでホールアウト。土壇場で週末への望みをつないだ。
初日は61位タイと出遅れた河本。予選通過のために伸ばしたい2日目だったが、前半は濃霧中断明けの5番でボギーを叩くなど、スコアを1つ落とす厳しい展開へ。だが、ここでスイッチが入った。
「後半は気持ちだけでプレーしました。腹が立ったらちゃんとムカついて」。米国に行って忘れかけていた感情むき出しのゴルフで、10番、11番と連続バーディを奪うと、1つボギーを挟んで迎えた17番。ピンまで残り227ヤードでディボット跡。状況は決して良くなかったが「ライが悪かったけど、ハイリスクということはハイリターンがくる」と果敢に2オンを狙うとピン右3メートルに着弾。このパットを沈めて、あすからの残り36ホールへの挑戦権を自らの手で勝ち取った。
夢だった米国女子ツアーに挑戦した2020年。良かったこともあったが、苦しいことも多かった。そんな中でいつしか闘志と自信を失い、持ち味のアグレッシブなゴルフは影を潜めていた。日本に戻ってきてからも、課題は常に気持ちのコントロールと自信をつけること。もがく日々が続いていた。
そんな気持ちも、今大会で同組となった有村智恵と話しているうちに少しずつほぐれてきた。「何かアドバイスをもらったわけではないのですが、1つ1つの言葉に重みがあって。それが自分の心を満たしてくれました。苦しんでいたのは私だけじゃない、そう思うことができました」。自分よりも先に同じ道を選択していた先輩からの声は暖かかった。
そして、かつての自分を取り戻すような後半9ホール。「決勝ラウンドはもちろん、それより先にもつながるプレーだったと思います」。久々に魅せた力強いガッツポーズが、強気の河本が戻ってきた何よりのあかしだ。(文・秋田義和)
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