<ダンロップフェニックス 2日目◇20日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7027ヤード・パー71>
ルーキーの石坂友宏が、初日、2日目と2日間ボギーなしのラウンドで、トータル9アンダーまでスコアを伸ばし、単独トップに立った。神奈川県出身の石坂は日本ウェルネススポーツ大学3年生の21歳。今大会に出場しているアマチュア4人、河本力(日本体育大3年)、杉原大河、米澤蓮(ともに東北福祉大3年)とは同い年、中島啓太(日本体育大2年)は1学年下にあたる。
今平周吾の隔離練習スペース【写真】
石坂はツアーではまだ無名の存在だが、19年の「日本アマ」では4位、「日本オープン」では23位タイの成績でローアマを獲得しているトップアマだった。その後、アマチュアのまま昨年のQTを受験し、ファイナルまで進んでプロ宣言。ファイナルQT25位で、ルーキーイヤーの今年は下部のAbemaTVツアーが主戦場となるはずだった。ところがコロナ禍で外国人選手の入国制限があり、レギュラーツアーに出られるチャンスが巡ってきたのだ。
「初日はけっこう攻めてノーボギーで4アンダー。今日はミスを少なく」とピンチらしいピンチもなく、再びボギーなしの「66」でホールアウト。石坂自身、ツアーでトップに立つのは初。ルーキーイヤーで「ダンロップフェニックス」が初Vという選手は過去に存在しない。トップに立った心境を聞かれると、「毎年テレビで見ているダンロップフェニックスなので、出たいとしか考えていなかった。とにかく4日間自分のゴルフをすること、最終的に優勝できたらうれしい」と初々しさ満載だ。
父親の影響で小学5年生でゴルフを始めた。そのときからアプローチが好きで、ずっと近くの練習場で腕を磨いてきた。その甲斐あって、「アプローチとパターは得意です。ショットが悪くてもカバーできる」とショートゲームに自信がある。しかし予選ラウンド2日間ではショットが絶好調で、得意のアプローチを披露するチャンスはほとんどなし。最終18番パー5で、3打目で奥のピンに対してグリーン奥に外したが、見事パーで切り抜けた。
試合がない時期は課題の強化に取り組んでいた。「飛距離アップのための下半身強化とアイアンの精度を練習していました」。曲がらないことが持ち味のドライバーは、270〜280ヤードとツアーで戦うには飛ばないほうだった。週に4回、大学でマシンを使ったスクワットや体幹トレーニングを行い、自重トレーニングも平行して取り入れたことで飛距離は300ヤードまで伸びた。好スコアの1つの要因になっている。
目標とする選手は石川遼。「ゴルフの上手さはもちろん、人間性やギャラリーに対して親切なところ。ファンサービスがすごい」と感じている。過去には千葉オープンで同組でラウンドしたことがあるが「あまり話せなかった」という。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、試合が延期や中止となる前に立てた目標は「AbemaTVツアー3勝。レギュラーツアー1勝」。AbemaTVツアーでは4戦に出場して未勝利に終わったが、レギュラーで勝つチャンスは巡ってきた。優勝できなくとも3位以内に入れば、今年の最終戦、「ゴルフ日本シリーズJTカップ」出場権も得られる。
「正直JT出場はあまり考えていません。目標スコア15アンダーまでいかないと納得できない」という大学生プロが、リーダーボードの一番上で決勝ラウンドを迎える。(文・下村耕平)
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