<大王製紙エリエールレディス 2日目◇20日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6545ヤード・パー71>
トータル1アンダー・20位タイで決勝ラウンドへと駒を進めた渋野日向子だが、この日の前半9ホールは怒り心頭のラウンドだった。
2番でピン奥20メートルから3パットを喫してボギーが先に来る展開となったこの日。その後もわずかにショートしたり、最後に左に切れたりと「いいストロークができているのに、読みが悪かった」とあと一歩のところでバーディが来ない展開が続いた。
すると、8番パー3のティショットでは左のピンに対して、力のない打球は右へ。思わずアイアンを叩きつけそうな悔しい素振りを見せると、アプローチを1.5メートルに寄せたのにも関わらずボギー。さらに、何としても取り返したい前半唯一のパー5となった9番では2.5メートルのバーディパットがカップに蹴られてパー。「あれはかなりイラっときた」と険しい顔でハーフターンを迎えた。
ここで渋野はある行動にでた。インターバルがあったため一度ロッカーに戻ると、自分の頭を「ゴツン」と何度も叩いたのだ。「一回(怒りを)吐き出すのもいいかなと思いました。一喜一憂しないのは難しいですね(笑)」。ここ最近の試合は“フラットでいる”ことを目標にしていたが、この日は「たまにはいいかな」と感情の赴くまま動いた。そうした切り替えに加えて、12番でバーディを奪ったことで落ち着きを取り戻した。
思えば、昨年優勝した海外メジャー「全英AIG女子オープン」では3日目に、9番で3パットのボギーを叩いた直後に茶店トイレに駆け込み「あそこで発散しました」。その時はまだ怒りは残っていたというが、後半だけで6バーディを奪い首位に浮上。偉業達成の足掛かりを作った。
今回は首位浮上とはならなかったが、17番で池に打ち込みながらも奇跡的に跳ね返り、池を越えてバーディを奪うラッキーもあって上がり3ホールは「今日一番の出来!」と納得がいくものになった。苦しい一日も首位と6打差に踏みとどまった。笑顔アリ、怒りアリ、驚きアリ。そんな喜怒哀楽あふれるラウンドも、たまには悪くない。(文・秋田義和)
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