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シーズン統合のオフは好材料　小柄な飛ばし屋はお団子がよく似合う【ルーキーたちの中間通信簿・田中瑞希】

新型コロナウイルス感染拡大の影響により開幕戦から中止が相次ぎ、20-21年の統合シーズンとなった国内女子ツアー。イレギュラーなスケジュールのなかで、歴代最高クラスと呼ばれた昨年のプロテストを勝ち上がったルーキーたちの戦い方はどうだったのか。一区切りのついたこのタイミングで、中間通信簿として、昨年まで同じ選手としてプレー、今年から解説者として彼女たちのプレーを見守ってきた大江香織が5段階で採点する。
今回は黄金世代・田中瑞希。勝みなみ、大里桃子らとアマチュア時代からしのぎを削った田中だったがプロテスト合格は遅れてしまった。だが、19年に合格すると20年の開幕戦「アース・モンダミンカップ」で3位に。一躍名前を売った。遅れてきた黄金色の小さな大砲を大江はどう評価するのか。
成績・・・★★★★☆
田中さんは19年からツアーに参戦、その年のテストに受かって20年シーズンなので実質ツアーは2年目ですが、十分な成績（賞金ランキング26位）ではないでしょうか。3位に入った開幕戦のアース・モンダミンカップは高額の4日間大会でしかも首位で迎えた最終日は順延。難しい状況のなか崩れなかったのは力がある証拠だと思います。
一度優勝争いを経験できているので、またかみ合えば次に優勝争いが来たときにすっと勝っちゃう可能性は高いと思います。プレーぶりを見ていても動じないタイプなのかなと思いましたしね。
雰囲気づくり、思い切りの良さ、おしゃれ度・・・★★★★★
このモンダミンカップで感じたのは、田中さんは背が高い方ではない（151センチ）のにすごく大きく見せていますよね。スイングの思い切りの良さもそうです。その分、飛びますね。身長に対してと考えたら、かなり飛距離が出るほうです。アッパーブローで打ち出し角度をつけて飛ばしていく。同じくルーキーの古江彩佳さん、西村優菜さんと身長は同じくらいですが一番飛びますよね。
そして、それと相まって人を引き付ける魅力がある子だなと思いました。笑顔もすてきでしたしね。あの試合でこの子のことを知ってファンになった子も多いと思います。実際、所属先もモンダミンカップでの活躍を見て決まったと聞きました。
自分に似合うもの、自分の魅力が分かっているんだと思います。モンダミンカップのときにお団子ヘアーにして話題を呼びましたが、とても似合っていました。そしてそれが“田中瑞希”というゴルファーのアピールにもなった。そういった一つひとつが積み重なって大きな魅力となっているんだと思います。
2021年への期待・・・★★★★☆
ただ、その3位になった後は苦戦しました。1度もトップ10には入れず19位が最上位。こういったことを経験できたのも良かったと思います。
いいゴルフができたときって、そのイメージが残りすぎて、その後のゴルフちょっとかみ合わないだけで「調子が悪い」、「うまくいかない」となってしまいがちなんです。自分に期待し過ぎてしまい、ギャップに悩んだりするもの。全部を受け入れて自分のゴルフを徹底してできたら、すぐにまた良いプレーができると思います。
私の話をすれば、2勝目（2016年のTポイントレディス）を勝った後に7連続くらい予選落ちをしてしまって。すごくつらかったですね。Tポイントも調子が良かったわけじゃないですが、たまたまかみ合って勝つことができた。でも、調子そのものは良くないからそれ以降の試合は全然ダメで。そのなかで自分に対してプレッシャーをかけてしまったり。ギャップにすごく悩んだ。ですので、田中さんのそういう気持ちはすごく分かります。
そういった意味ではこのオフでいい切り替えができると思います。予選落ちもあるけど、しっかり通っているところもあります。予選を通ったときに、もうちょっと頑張れるようになる。そういったちょっとずつの積み重ねがまた優勝争いにつながると思います。
あと、スタッツを見てみると全体的に50位前後。バウンスバック率（17.2932％、23位）だけがある程度良くて、あとが50位前後。このなかのどれか1つ、パーオン率ならパーオン率でいいし、リカバリーならリカバリーでいいのでどこか1つ上げたいですよね。そうすれば「飛ばし」のほかにもう1つ武器ができる。そうなるともっと成績も上がってくると思います。
それらを踏まえても、21年は20年と統合シーズンのため、モンダミンカップで稼いだアドバンテージをそのまま生かせる。余裕はあると思うので、伸び伸び頑張ってほしい。緊張感にしなくていい。このアドバンテージというか良い方向にとらえて、思い切りの良さを小さくしないようにどんどん攻めていってほしいですね。
大江香織（おおえ・かおり）/1990年4月5日生まれ、山形県出身。通算3勝。153cmと小柄ながら体全体を大きく使ったスイングで8年連続シードを保持するなど、息の長い選手として活躍。2019年にツアー撤退を表明、「ツアーを撤退するプロに“大江が生きているから撤退しても大丈夫”と思ってもらえるように、色々活動できたら」と2020年からは新たなかたちでゴルフに携わっている。
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