<ファーマーズ・インシュランス・オープン 3日目◇30日◇トリーパインズGC サウスコース(米カリフォルニア州)◇7765ヤード・パー72>
「ファーマーズ・インシュランス・オープン」3日目、トータル10アンダーでカルロス・オルティス(メキシコ)と並んで首位に立ったパトリック・リード(米国)。「70」と伸ばしてホールアウトすると、騒々しく多くの記者たちに囲まれた。リードのとったルール解釈で大きな疑問が湧いていたからだ。
問題となったのは10番パー4。左バンカーから打った第2打は大きく左に曲がり深いラフへと沈んでいた。リードは自分のボールにたどり着くと、まずはボール近くにいたボランティアのマーシャルに「ボールは跳ねた?」と確認。ボランティアは「跳ねたのは見ていない」と即答した。さらにリードは同伴競技者のウィル・ゴードンとロビー・シェルトン(ともに米国)、そして彼らのキャディにも「ボールが跳ねたのを見たか?」と確認。ところが誰も目撃はしていなかった。
これは2019年にルール改正された際、自身のピッチマークにボールが埋まった際は、フェアウェイだけでなくラフなども含むジェネラルエリアで無罰の救済を受けることができることになったことを受けての行動。つまりリードのボールはラフの奧深くに埋まっており、落ちた際に跳ねていなければ自身のピッチマークに埋まったという可能性が高いことになる。
リードはすぐさまボールを手に取りピッチマークに埋まっているかを確認。その後ルールオフィシャルを呼ぶという奇妙な行動をとった。オフィシャルが現地に到着した際にはすでにボールは動かされたあと。状況から「自身のピッチマークにうまっていただろう」と無罰のドロップと裁定した。
しかし、その後テレビが捉えていた映像で、ボールはラフで一度バウンドして止まったことが確認された。これは自身のピッチマークに埋まった可能性は限りなく少なくなる。それでも裁定は覆ることなく、リードにペナルティは科せられることはなかった。
問題は「なぜルールオフィシャルを呼ぶ前に、ボールに触ったのか?」と大きな疑問が湧いてしまったこと。あっという間にソーシャルメディアでも炎上した。
リードは「皆に確認して自分のできる最善のことをした。そしてルールオフィシャルの裁定にしたがった」と主張する。しかし、過去に何度もルール疑惑が持ち上がっているリード。19年12月にはタイガー・ウッズ主催の「ヒーロー・ワールド・チャレンジ」で、バンカー内でのライ改善がテレビに映し出され2罰打となったこともある。
一時は単独首位に立っていたリード。前半を「31」としながら後半に「39」と崩れながらもオルティスと並んで首位で最終日を迎えるが、最終日も騒動は収まりそうにない。(文・武川玲子=米国在住)
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