埼玉栄高校の2年生だった2019年。岩井姉妹は「来年の秋、2人でプロテストを受けよう」と心に決めていた。
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しかし、コロナ禍に陥った2020年の夏、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は同年秋に行なうはずだったプロテストを2021年の春以降へ延期することを発表。
姉妹が思い描いていたプランはすっかり狂ってしまったが、それでも彼女たちは前向きに考えた。
プロテストは2021年3月に1次、5月に2次、6月に最終の順で実施される。姉・明愛は2020年日本女子オープンのローアマ獲得により、1次と2次が免除されるため、6月の最終からの受験となるが、翌年6月まで「また調子を合わせなきゃいけない」と感じつつも、それを目指してやっていこうと意を決した。
妹・千怜は「私はラッキーだと思いました。そのころ、私はあんまり自信がなくて少し焦っていたので、プロテストが延期になって、このチャンスを自分のものにしよう、絶対に調子を合わせるぞって思いました」。
両親は「親としては最悪のシナリオも考慮に入れた」。そして、家族みんなで出した結論は、大学に進学しつつ、プロテストを受けるという同時進行の道だった。
武蔵丘短期大学を選んだ理由は「4年間の大学生活は長すぎて気持ちが薄れていくのは怖い」、「学びたいと思っていることが学べる」、「自宅から近い」、「特待生としての受け入れで学費免除が経済的に助かる」。
同大学にはゴルフ部があり、キャンパス内にはゴルフ練習場があり、さらに大学と連携している近隣の鳩山カントリークラブやカゴハラゴルフ(練習場)を利用できるため、「練習環境がいいなと思って決めました」と姉妹は笑顔で答えた。
【大学で何を学ぶ?】
今年の春から初夏にかけて、プロテストに挑むとしても、大学に進学しないという選択肢もあったはずだ。しかし、プロへの道と同時並行で大学進学も望んだ姉妹は、4月から武蔵丘短期大学で何を学びたいと思っているのだろうか。
姉・明愛は、すでにプロゴルファー人生を終えた先で迎える自身の「セカンドキャリアのためにも自分のためにも、自分の体のことや栄養のことを勉強しておきたい。そして、トレーニングとかに関わりたいです」。
妹・千怜は「私はセカンドキャリアとかは、今はあんまり考えてなくて、でもアスリートとしてやっていくためには自分の体を自分で管理するのは基本だと思うので、それができるように、健康や栄養のこと、自分の体のコンディショニングなどを学びたいと思います」。
プロゴルファーを目指しつつも、ゴルフだけではなく、家族にも社会にも自身の将来未来にも、しっかり目を向けながら成長している岩井姉妹。
2人の「これから」が、とても楽しみだ。
取材・文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
取材協力/武蔵丘短期大学
〈文中敬称略〉
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