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ゴルフ人生はいかに始まったのか？　ゴルフ界注目の双子姉妹、岩井明愛・千怜〜〜コロナ禍で選んだ新たな道〜〜

岩井明愛（あきえ）、千怜（ちさと）の双子姉妹といえば、今、日本のゴルフ界で大きな注目を浴びている存在だ。
二卵性の双子である岩井姉妹は現在、埼玉栄高校の3年生。どちらも中高時代に数多くのジュニア、アマチュアタイトルを獲得。昨年は、妹・千怜が埼玉県女子アマチュアゴルフ選手権で3連覇を達成。姉の明愛は関東高校ゴルフ選手権で2連覇を達成した。
さらに2人は、すでにプロの大会にもアマチュア選手として出場している。とりわけ2020年の日本女子オープンでは、3度目の挑戦にして初めて2人そろっての出場を実現し、話題になった。そして明愛は14位タイでローアマに輝き、千怜も40位タイと健闘した。
姉妹は今年3月に埼玉栄高校を卒業し、4月からは埼玉県内の武蔵丘短期大学へ進学することが決まっている。
進路がそう定まるまでの途上では、コロナ禍の影響を受け、プラン変更を余儀なくされた。しかし2人は、すべてを前向きに捉え、卒業・進学という人生の節目とほぼ同時進行で、3月から始まる日本の女子ツアーのプロテストという難関に挑もうとしている。
そんな岩井姉妹に日本のゴルフ関係者は熱い視線を注いでいる。多大なる可能性を秘めた2人の18歳の胸の内を覗いてみた。
【ゴルフ人生の始まりと歩み】
父親・雄士は公務員、母親・恵美子は看護師、そして姉妹の2つ年下の弟・光太は、やはり埼玉栄高校でゴルフ部に所属している1年生だ。
父・雄士は「私はそもそも月1ゴルファーだった」と振り返り、母・恵美子は「結婚したころは、ゴルフなんて何が面白いのかもわからなかった」と苦笑する。
10数年前のあるとき、アベレージゴルファーだった父・雄士が練習場に行く際、まだ5歳ぐらいだった姉妹を連れて行ったら、大いに興味を示したそうだ。
そして姉・明愛は「クリスマスにサンタさんにゴルフクラブをお願いしたら、翌朝、私にはブルー、妹にはピンクのゴルフバッグが置いてあって、ジュニア用のクラブのセットが入っていたんです」と振り返る。
それが姉妹のゴルフの出発点。明愛にとっては、その思い出が「今までで一番うれしかったこと」だという。
練習場に通うようになり、小学2年ぐらいのとき、その練習場のティーチングプロから「筋がいいね」と声をかけられ、指導を受け始めた。
とはいえ、両親はゴルフを強いることは決してせず、姉妹の自主性を最優先した。姉妹は中学では陸上競技に夢中になり、姉・明愛はサッカーにも夢中になった。
それを見て、父・雄士も弟・光太も、みんなで走るようになり、みんなでゴルフも楽しむようになり、母・恵美子は4人の栄養管理、健康管理に努めながら、ときには運転手役も買って出た。
中学時代の典型的な1日といえば、「早朝、陸上部の朝練で走って、放課後はまた部活で走って、家に帰ったらゴルフ練習場に行き、トレーニングをしてから球を打ち、夜9時とかに帰宅して、ご飯、お風呂。寝るころには、すっかり夜遅くなっていました」。
妹・千怜にとっては、そういう日々が「結構、つらいときもあったけど、楽しかった」。
高校進学を控えたころ、2人は陸上やサッカーをやめてゴルフを選び、選ぶ以上は「ゴルフが強い高校、自分が強くなれる高校に行きたい」と考えた。
そして、姉妹自身が希望して、埼玉栄高校へ進んだ。そこでめきめき腕を上げ、昨年は2人そろって出場した全国高等学校中学校ゴルフ選手権特別大会で同校8年ぶりの団体優勝を飾った。
そうやってチームで成し遂げる喜びや達成感を感じた一方で、周囲としのぎを削り合う環境に身を置く厳しさも肌で感じ、その中で2人は歯を食い縛ってきたのだと思う。
「これまでで一番うれしかったこと」を尋ねたとき、妹・千怜は「中学のときに仲良くしていた友だちが6人いたんですけど、あんまり遊べなくて、でも私たちの一昨年の誕生日を、その6人がサプライズでお祝いしてくれたことです」。
それが、何よりうれしかったのだと喜ぶところに、ゴルフに没頭してきた高校3年間が多感な年ごろの彼女にとって、ときにはとても厳しいものであったことが垣間見えた。
取材・文/舩越園子（ゴルフジャーナリスト）
取材協力/武蔵丘短期大学
〈文中敬称略〉
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