世界で50勝以上挙げ、海外メジャーは2勝。米韓で賞金女王に輝き、世界ランキング1位となったこともある申ジエ(韓国)。20年もわずか8試合の出場で2勝を挙げるなど今なおバリバリの実力者だが、その一方で、日本ツアーを愛し、常々「若手の壁になりたい。後輩達に多様な技術を見せるのも私の役目」と話すツアー全体の発展を願う選手でもある。そんなジエに、日本が誇る若手選手たちをどう思うか聞いてみた。
今回は21年初戦となる「ダイキンオーキッドレディス」でツアー通算3勝目を挙げた小祝さくら。18年の「ゴルフ5レディス」でプレーオフを戦い勝利、まさに“壁”となって立ちはだかった選手をどう見ているのか。
「気持ちの起伏が少ない選手ですね」と率直な印象を話す。「ポーカーフェイスとはまでは言えませんが淡々と彼女のペースを保つ選手だと思います」と評した。そして「そう言った部分は長所でもあり、短所でもあるかもしれません」という
「長所はご存知の通り。短所かもしれないとした理由としては、感情の波が少ないというのはいいときに、さらに良くなることができないかもしれないということです。自分で“よしっ!”となることには、さらに波に乗っていく効果もある。小祝さんはもくもくと仕事をこなしている感じもあるので、よりプレーも楽しんでほしいなと思います。そうなると彼女のなかにもいい変化があると思いますし、スコアも良くなる可能性があります。本当に紙一重ですが、そういった部分があるかないかで結果が変わってくるかもしれません」(ジエ)
そんなジエが、「小祝に重なる選手」として挙げたのがインビー・パーク(韓国)。「ポーカーフェイスのタイプで最初は内面を読むことができませんでした。次第に彼女の表情と内面が違うときがあると理解できるようになりました」と、ジエと同い年で海外メジャーグランドスラムを達成、世界ランキング1位に輝き、リオ五輪では金メダル獲得、現役選手ながらすでに殿堂入りしているというレジェンドに重ねた。今の起伏のなさをベースに、さらにギアを上げていける力を身に付けて行けば、小祝も大きく羽ばたいていけるという期待を感じさせる人選だ。
最後に小祝にこんなアドバイスを。
「あくまで私の意見ですが、そばで見ていて小祝さんは一人で抱えて、一人で悩んで、一人で解決しすぎる傾向があるように感じました。彼女を支えてくれる人はたくさんいますから、“表現していいことはもっと出していっていいんだよ”と言いたいです。表現がさらにできるようになったら、プレーも生活もさらに豊かになると思いますよ」
申ジエ(しん・じえ)
1988年4月28日生まれ、韓国全羅道出身、スリーボンド所属。155センチという身長で母国韓国、そして米国の賞金女王に輝いたジエが、日本ツアーを主戦場に移したのが2014年。「温かい人間味を感じる国でやってみたい」というのが理由で、本格参戦後は元世界ランク1位の名に違わぬ実力でカップを積み重ねている。また、たびたび児童施設に寄付するなど人格者としても後輩たちの良い手本に。米ツアー時代は最終日に無類の強さを発揮することから“Final Round Queen”と呼ばれており、日曜日の強さは日本になっても変わることはない。
<ゴルフ情報ALBA.Net>