<明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント 初日◇12日◇土佐カントリークラブ(高知県)◇6228ヤード・パー72>
ツアー未勝利で、賞金シードを持たない武尾咲希が6バーディ・1ボギーの5アンダーで回り、首位タイ発進を決めた。2017年には賞金ランキング28位に入りシードを獲得したが、翌年から低迷。今季はQTランキング36位の資格で出場し、現在も賞金ランキング94位にとどまっている。それが今週は、大きな転機となりそうだ。
前週開催された21年初戦の「ダイキンオーキッドレディス」では54位タイ。オフには開催地である沖縄で合宿をしていたという武尾は、風が強い沖縄特有のコンディションで、ショット時の入射角がきつくなっていた。そのためばらつきが出ていた距離感を調整し、この日のバーディ量産につなげた。
「2メートル以内のバーディチャンスがたくさん作れたので、そこがよかったと思います。少しフェアウェイキープできないところがあったので」と反省点もあるにはあるが、まずは順調な滑り出しに笑顔を見せた。
福島県会津若松市出身。大会前日の11日は、東日本大震災からちょうど10年の節目で、武尾にとっても忘れられない日だ。「1週間ニュースを見て震災のことを思い返すことも多かったですし、被災地の皆さんが未来に向かって一生懸命になっていると思うので、私も一緒に頑張ろうと思う」と思いを口にした。
当時は高校生だった。通っていた学校は福島県内陸にあったため、太平洋沿岸ほどの被害はなかった。そのため、「(学校の体育館が)沿岸の地域からの避難所になっていて、皆さんが本当に大変な思いをしていた。それを見つつも、自分にできることが本当になくてもどかしかったのを覚えています」と当時を振り返る。
あれから10年。プロゴルファーとなり、人に夢や希望、勇気を与えることができる立場となった。「初優勝を挙げること」を今季の目標に挙げた武尾。戦っている姿で感動や元気を届けることが、当時のもどかしさを吹き払い、被災地へのエールとなる。
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