<Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント 2日目◇20日◇鹿児島高牧カントリークラブ(鹿児島)◇6424ヤード・パー72>
そろそろ女王が目覚めそうだ。2017、19年の賞金女王・鈴木愛が5バーディ・1ボギーの「68」で回り、トータル6アンダーの暫定11位タイに浮上。「ようやくかみ合った」と、笑顔で1日を振り返った。
21年初戦から調子は悪くなかった。それでも結果が伴わない。「ダイキンではティショットがちょっとラフに入ったら木の後ろについたり、高知ではショットもそんなに悪くないけど」。もどかしさはあっても、焦りはなかった。「まだ3戦目ですし」と、いずれかみ合う時を待っていたが、ようやく納得のラウンドを迎えることができた。
昨年は開幕戦となった6月の「アース・モンダミンカップ」でプレーオフに進みながら渡邉彩香に競り負けると、その後は結果が出ずに苦しい時を過ごした。異例の長いシーズンで、3カ月の中断期間を挟んで臨んだ21年は、いまのところメンタルもフィジカルも感触は悪くない。それだけに、この日の内容と結果の合致には、充実感と喜びがにじんだ。
今大会は鈴木にとって、2018年に優勝していることはもちろん、別の意味でも思い入れの強い大会でもある。大会名にも入る主催社のひとつ、ENEOS株式会社を傘下に持つENEOSホールディングスの名誉顧問(当時)で、昨年12月に他界した渡文明氏への思いが強いからだ。
新日本石油の社長、会長を歴任、経済界にも大きな力を持っていた渡氏は、鈴木を孫のようにかわいがった。「プロアマで回らせていただいて、そこから私をすごく大事にしてくださって」と、女王がかかったシーズン終盤には、「毎週のように連絡をいただいていた。渡さんにお世話になったという気持ちを込めてプレーしたい」と、記念の大会で力強く宣言した。
かみ合ってきた女王ゴルフと、亡き恩人への思い。「本当に残念でしかないです。最後にお礼を言えなかったので、結果で恩返しをしたいです」。最終日の目標は「最低60台」と、控えめな数字だが、鈴木の心の中は、恩返しVのことでいっぱいのはずだ。
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