世界で50勝以上挙げ、海外メジャーは2勝。米韓で賞金女王に輝き、世界ランキング1位となったこともある申ジエ(韓国)。2020年もわずか8試合の出場で2勝を挙げるなど今なおバリバリの実力者だが、その一方で、日本ツアーを愛し、常々「若手の壁になりたい。後輩達に多様な技術を見せるのも私の役目」と話すツアー全体の発展を願う選手でもある。そんなジエに、日本が誇る選手たちをどう思うか聞いてみた。
今回はライバルといってもいい鈴木愛の存在について。韓国、米国で賞金女王の座に君臨したジエにとって、日本での賞金女王がかねてからの目標。日米韓の3ツアーでクイーンになった選手はいまだかつていない。そんなジエの野望にストップをかけているのが鈴木だ。
14年の本格参戦から賞金ランキングで一度もトップ5を外していないジエだが、大きなチャンスが19年だった。シーズンの終盤まで1位を走ったが、終盤に鈴木が怒濤の3週連続を果たし、逆転を許すと、最後には渋野日向子にも抜かれ3位に甘んじた。
常にお互いを意識する存在のジエと鈴木。ジエは鈴木についてひと言。「鈴木選手はすべてがうまい」と絶賛する。「パッティングだけでなくショットもすべてが上手。そんな鈴木選手のプレーを見ていて感じるのは鋭さです」。
いったいどういうことか。「プレー姿が堂々としています。そして、鋭い雰囲気をつくっていきます。その鋭さが周りにも伝わって、それによって競い合いが生まれて、相乗効果が生まれるんです」。幾度となく同組で戦ったジエならではの鈴木評だ。
プレー中の鋭さを感じるというジエだが、鈴木の性格についてはこんな意見も。「表現が少ないわけでも、多いわけでもないですが、実は恥ずかしがり屋さん。そういう所を見るとお茶目だなと思います(笑)」。眼光鋭くプレーを終えると、はにかむ鈴木の姿はしばしば見られる。そんなギャップも鈴木の魅力だとジエ。今季の目標はともに賞金女王。二人のバトルが楽しみだ。
申ジエ(しん・じえ)
1988年4月28日生まれ、韓国全羅道出身、スリーボンド所属。155センチという身長で母国韓国、そして米国の賞金女王に輝いたジエが、日本ツアーを主戦場に移したのが2014年。「温かい人間味を感じる国でやってみたい」というのが理由で、本格参戦後は元世界ランク1位の名に違わぬ実力でカップを積み重ねている。また、たびたび児童施設に寄付するなど人格者としても後輩たちの良い手本に。米ツアー時代は最終日に無類の強さを発揮することから“Final Round Queen”と呼ばれており、日曜日の強さは日本になっても変わることはない。
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