<フジサンケイレディス 初日◇23日◇川奈ホテルゴルフコース 富士コース(静岡県)◇6439ヤード・パー71>
世界的に見ても歴史と伝統が深く、そして戦略性が高いコースとして知られる川奈ホテルゴルフコース 富士コース。特にインコースから見渡せる相模湾は絶景。ゴルファーなら一度はプレーしてみたいコースのひとつだが、そんな舞台が今年も女子プロのプレーでより一層引き立つ3日間が始まった。
「フジサンケイレディスクラシック」の開催前は、1981年から2004年まで男子ツアーの「フジサンケイクラシック」が行われた。オールドファンにとっては、ジャンボ尾崎が当地で5度の優勝を挙げた場所としても記憶に刻まれていることだろう。
今年も民放、BS、CS放送でテレビ中継される本大会。画面越しでもその美しさ、難しさが伝わる富士コースだが、見どころはやはり終盤のホール。16番のパー5は猛烈な打ち下ろしで、距離が稼げる選手なら2オンも可能。ところが、左サイドは海ですべてOB。これを嫌って右に逃げると深いラフとバンカーという設計。優勝争いの選手がOBを打って脱落というシーンも珍しくない。
今でも語り草となっている、87年最終日のジャンボのチップインイーグルなど、勝負の行方を左右する分岐点。その美しすぎる景色に見とれてしまいそうだが、大会においてはとてつもなく重要な役割を果たしている。
この名物16番を終えると、大会はラスト2ホールのこれまた名物ホールへと続く。17番のグリーンはまるでゴルフゲームのようなロケーション。狭いグリーンに向かって打っていくパー3は、グリーンをショートすれば崖下へと吸い込まれるほどの砲台グリーン。かといって奥に外せば、今度は速い下りのライン。逃げ場はない。
そして、ひたすら登り続ける最終18番パー4。フェアウェイは左から右に傾斜しており、少しでもミスヒットすれば右ラフにこぼれ落ちる。さらにグリーンの右手前には深いバンカー。最終日はこの上にカップが切られるため、右ラフからではどうにも寄せようがない。そんな富士コースのドラマティック3だが、これはトーナメントに限ってのことだというのはご存じだろうか?
実は富士コース、通常営業の際と大会期間中のホール順が異なっている。大会の18番は実は通常は17番で、その奥にある大会の1番が通常の18番。ホールの並びを変えたのは、大会ゼネラルプロデューサーを務める戸張捷氏。テレビを考えた景観の映りや、ドラマが生まれる展開などが考慮されている。
男子から女子へ。ジャンボから大山志保、佐伯三貴、金田久美子、藤田光里へ。受け継がれてきた優勝シーンの裏には、こんな演出もあってこそ。久しぶりの有観客となる今大会だが、現地で観戦できない人も、テレビ中継で存分に川奈の魅力にとりつかれてほしい。
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