昨年の「ダンロップフェニックス」で金谷拓実と死闘を演じて2位となり、一躍ツアーでも知名度を高めた21歳の石坂友宏。今年初戦の「東建ホームメイトカップ」では8位タイに入り、年をまたいでも好調を維持している。「また金谷さんと戦いたい」と発言していた石坂だったが、「中日クラウンズ」の予選ラウンドで金谷との同組が実現。そんな石坂のドライバーに注目してみた。
テーラーメイドと用品契約を結ぶプロたちが続々と『SIM2』に切り替えるなか、石坂は昨年から引き続き『SIMグローレ』を使用している。『SIM2シリーズ』はアベレージゴルファーからアスリート向けに作られたクラブだが、『SIMグローレ』はどちらかというと力の落ちてきた年配ゴルファー向け。市販の40グラム台の軽量シャフトが装着されたものは、総重量も270グラム台とかなり軽め(石坂は60グラム台のシャフトを装着)。なぜ若い石坂はこのクラブを選んだのか。
「構えた感じは小ぶりでディープフェース。確かに普通のドライバーと比べるとちょっとアップライトなんですよね。ヘッドの先が上がって見えるんですけど、僕には違和感がなかった」と石坂は話す。『SIMグローレ』のようなボールがつかまらないアマチュア向けのクラブは、アップライトな設計でつかまりやすくしているモデルが多い。総じてプロは左へのミスを嫌がるため、アップライトに見える顔を敬遠する傾向がある。でも石坂には問題なかったようだ。
さらに石坂は続ける。「アップライトなんですけど、つかまりすぎない。構えたときの顔もそんなにかぶって見えないんです。本当に弾きが良くて飛びますし、僕はこのドライバーが好きですね」とさわやかに答える。
しかし、ただ飛ぶだけではツアーでは使えない。曲がらないドライバーが武器の石坂は、ホールロケーションや風向きによって球をしっかり打ち分けている。「風がアゲインストで低い球を打ちたいときには、球を潰していける。飛ばしたいときにティアップを高くして打ったときにも、上がりすぎずに中強弾道で飛んでくれる。操作もしやすいんです」と、フェードヒッターの石坂は飛距離だけでなく操作性も気に入っている。
実は直ドラ(ティアップせずに地面からドライバーを打つ)を多用する池村寛世も、「直ドラが打ちやすい」と昨年までは、この『SIMグローレ』がお気に入りでずっと使っていた。今年3月にヘッドが割れてしまったために、現在は『SIM2 MAX』に切り替えている。
また、石坂はつかまりすぎを防ぐためにソールのトゥ側に鉛を貼り、シャフトは『Tour AD VR-6』のフレックスSを装着している。「シャフトも60グラム台のSですし、(ツアーでも)一番やさしいスペックなんじゃないですかね」と石坂は笑う。
ちなみに、松山英樹のドライバーには『Tour AD DI-8』のフレックスTXが入っている。シャフトの種類が違うので単純比較はできないが、80グラム台でかなり重くて硬いのは間違いない(R、SR、S、X、TXの順に硬くなる)。松山のドライバーを一般ゴルファーが打つと、難しすぎてボールはつかまらずに上がらないと思うが、石坂のドライバーなら打てる可能性はある。いやもしかしたら、我々は石坂よりも軽くてやわらかいドライバーを使わないといけないのかも…。
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