<中日クラウンズ 最終日◇2日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
6年ぶりの優勝にも「…やった、です」。淡々と答える今年の「中日クラウンズ」チャンピオン。実はアツい感情の持ち主だ。
2015年の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」を最後に優勝から遠ざかっていた。昨年の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で優勝争いを演じるも、終盤2ホールでチャンスを逃して2位タイで終了。「悔しすぎてしばらく寝られなかったです」と、何週間も引きずった。
40歳を迎えた今年、特に大きく感情を揺さぶられる出来事があった。「マスターズ」でアジア人初制覇を果たしたのは、東北福祉大後輩の松山英樹。「英樹がバーディ獲ったら、自分の太ももを叩いて喜んで、池に入れても太ももを叩いてた。疲れましたね」と、テレビに釘付けの観戦。
「日本のゴルフ史上、最高の選手じゃないですか。その彼が勝てなかったら、誰も通用しない。いろんな道を切り開いている気がします」と、身近な最高峰ゴルファーの影響は大きかった。
それから1カ月も経たないうちに、自身にリベンジのチャンスが巡ってきた。トップと2打差で迎えた最終日に7バーディをマーク。7つのバーディはすべて3メートル以内のチャンスにつける抜群のショット力で、ボギーフリーの「63」とひとり異次元のゴルフでトップまで上り詰めた。
6年ぶりの勝利に喜ぶのは今だけ。その視界には、米ツアー再挑戦も入る。15年には海外メジャーで好成績を残し、下部ツアーとの入れ替え戦に参戦して米ツアー出場権を獲得。翌年は低迷し出場資格を失い17年に日本ツアーに主戦場を戻したが、海外進出への意欲を聞かれると「あります」と即座に返答。道のりは険しいが、再び入れ替え戦からの参戦を目指していく。
多くを語らない今年のチャンピオン。公に見せた優勝の喜びは、18番でウィニングパットを沈めたあとの小さなガッツポーズ。「あ、わざとやりました。ガッツポーズしろよって、よく言われるので」と淡々と受け答え。それでも優勝スピーチでは、「これからどれくらいゴルフ人生があるかわかりませんが、たくさん勝ち星を重ねてみんなの笑顔を見たいと思います」と、アツい言葉をファンに贈った。(文・谷口愛純)
<ゴルフ情報ALBA.Net>