<パナソニックオープンレディース 最終日◇2日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6638ヤード・パー72>
2021年国内女子ツアー第9戦は、トータル5アンダーで首位に並んだ上田桃子と大里桃子によるプレーオフまで優勝争いがもつれこんだ。そして、2ホール目をパーとした上田に軍配。19年「ヨネックスレディス」以来となるツアー通算15勝目を挙げた。
プレーオフは、女子ツアーで珍しくパー3(9番、182ヤード)の繰り返し。強風でスコアを落とす選手が続出する中、正規の18ホールでセルフコントロールを続け“凪”の状態を保ち、冷静に耐えてきた上田にとって、“経験者有利”、“強風下の5I有利”と言える状況が生み出されていた。
先週の「フジサンケイレディス」をお休みし、コーチでキャディを務める辻村明志氏とマンツーマンで茨城県の大洗で「プチ合宿」を張っていた上田。今年は開幕戦で4位に入ったものの「技術的に気になる点があった」という悩みを抱えながら過ごしてきた。それをここで払拭。「やっと本来の自分らしさが戻ってきた」と、合宿効果をひっさげて「チャレンジ」をテーマに大会入りした。そんな上田は大会前の今週頭に下記のように話していた。
「女子ツアーでは、6Iが入ってる選手が少数派になってきました。5Iを入れるのは本当に少ないんじゃないですか? 特に、女子ツアーのパー3って、大体170、180ヤードくらいの距離が多いんですよ。5Iか、UTくらいの距離が多くなってくる。しかも風の読めないホールが多いので、そういう意味ではアイアンの方が球を作っていきやすい。それで私は5I(APEX DCB)を入れてますね。
高さを出せるのも決め手。特に、春先は風も強いので球を抑えていきたいのもあるんですが、それよりもグリーン自体が硬い。だから、止めていきたいなかで、このアイアンはしっかりとボールが上がりました。少しトップラインも厚くグースも適度にあってやさしい顔なので、トップで“間”が取れる。女子プロが5、6Iを抜くのはやっぱり難しくて、それでUTにするのもあると思うけど、やさしい顔の5Iだと力まない」
初日、2日目は4、6Uをバッグに入れていたが、3日間で一番強い風が吹いた最終日は6Uを抜き、大会前に話していた5Iを入れた。そしてプレーオフでは、この5Iで2ホールともにティショットを打ち、勝利を手繰り寄せた。2ホール目で辻村コーチから6Iを勧められたが、5Iで打つことを選択。「きょう(5Iを)入れて良かったな。ラッキーアイテムだったなと思います」と話した。
昨年の「全英女子オープン」で6位に入ったことも記憶に新しいが、経験豊富な上田は強風かつ悪コンディションほど力を発揮する。風の中で球を操る技術、いってはいけない場所に打たない、落ち着いたマネジメント力とセルフコントロールに長け、誰よりも粘れる。また、今大会は合宿効果と、最終日のギア選びも符合し、見事パー3のプレーオフで“熊本の桃子対決”を制した。
【上田桃子の優勝ギア】
1W:キャロウェイ EPIC SPEEDプロト(10.5°Tour AD PT-6SR)
3、5W:キャロウェイ X HOT(15、19°)
4U:タイトリスト 816H1(23°)
5I:キャロウェイ APEX DCB
6I〜PW:キャロウェイ APEX
A、SW:キャロウェイ X FORGED(50、54°)
LW:キャロウェイ JAWS FORGED(60°)
PT:オデッセイ ホワイト・ライズ iX #1SH
BALL:キャロウェイ クロム ソフトX
<ゴルフ情報ALBA.Net>