<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇7日◇茨城GC東C(茨城県)◇6630ヤード・パー72>
高橋彩華が8バーディ・1ボギーでラウンドし、トーナメントコースレコードタイとなる「65」をマーク。トータル9アンダーで単独トップに躍り出た。これには高橋も「素直にうれしいです」と笑顔。「早い段階で伸ばせたので、予選カットを気にせず、のびのびとゴルフができたのが良かった。ボギーをあまり打たないように心がけていた」と振り返る。
高橋はきのうの初日、16ホールを終えた時点で、1オーバーの下位に沈んでいた。17ホール目の8番パー4では残り160ヤード弱から7番アイアンでショットイン・イーグル。18番パー5でもきっちりバーディを奪って、2アンダーまでスコアを上げて良い形で2日目を迎えていた。この20ホールで考えれば、10個スコアを伸ばしたことになる。
今年4月の「ヤマハレディースオープン葛城」では首位タイで最終日を迎えるも、稲見萌寧に逆転を許して3位。また、その翌々週の「KKT杯バンテリンレディス」では単独トップで迎えた最終日に「79」と崩れて15位タイ。初優勝に手が届きそうな位置には来ているが、勝ちきれない試合が続いている。
悔しさが残るKKT杯バンテリンレディス帰りの空港で母の真由美さんから「『毎週トップ10が目標でいいんじゃない』と言ってくれて、そこから心が軽くなった。無理して優勝争いを狙わなくても良いかなと思いました」と高橋は語る。『優勝争い』から『トップテン10』に目標を下げたことで、「重苦しい感じも減って、前より気楽にゴルフができるようになった」。
高橋がたびたび優勝争いに顔を出せるようになったのは、コーチの奥嶋誠昭氏と行っているスイング改造の成果だ。「今年のオフに『レイドオフ』にスイングを直して、いままでよりもショットの精度が増したかなと思います。もともと『クロス』が強くて、調子の波が大きかった。レイドオフにしてクラブのネジレが少なくなり、安定感が増しました」とスイング面での成長を実感している。
『クロス』とはスイングのトップでシャフトが飛球線よりも右を向くこと。アマチュアゴルファーにもよく見られる形で、クラブが余計に動いてしまうため、トップの位置が不安定でダウインスイングでの再現性は低くなる。一方、『レイドオフ』はトップでシャフトが飛球線よりも左を向く形のことで、トップがコンパクトになるため、再現性は高くなる。
高橋のスイング改造について、コーチの奥嶋氏にも電話で話を聞いた。「レイドオフには一昨年ぐらいから取り組んでいます。オフに左手の甲を上に向けるレイドオフの形を作ることで、スイングを修正しました。いままでは右を向いて引っかけのドローを打っていたのが、いまは右方向に出してから、左に戻ってくる安定したドローに変わりました」。
続いてレイドオフのメリットについては、「クロスだと上からクラブが入るので、どうしてもインパクトで合わせるような打ち方になる。左手の甲を上に向けるレイドオフは切り返しやすいので、方向性が良くなるんです」と奥嶋氏は教えてくれた。ちなみにクロスだと、左手の甲は正面を向く形となる。
実際、高橋のパーオン率を見てみると、18年シーズンは63.8498%で74位だったのに対し、19年シーズンには74.6032%で4位、この20-21年シーズンは74.9158%で現在トップに立っている。ショットの正確性や安定性はツアー屈指といってもいい。
「最近ショットは安定していて、あとはパターだけかなと思います。あんまり自分を追い込まないで、トップ10で良いんだよと言い聞かせています」と高橋。再び巡ってきた初優勝のチャンスをつかむことができるか。決勝ラウンドのプレーにも注目したい。(文・下村耕平)
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