女子プロたちのドライバーショットは軽く振っているように見えるのに、すごく飛んでいる。一方、我々アマチュアは一生懸命振っているのに、思ったような飛距離は出ない。女子プロたちの平均ヘッドスピードは40m/sくらいで一般男性とそこまで変わらないのに、なぜコンスタントに240ヤード以上飛ばせるのか? 弾道計測器トラックマンのデータをもとに、ツアープロコーチの石井忍氏に聞いてみた。
飛距離の3大要素といえば、『ボール初速』、『打ち出し角』、『スピン量』だが、石井氏はボールが地面に着陸する角度、『ランディングアングル』に注目する。今回計測した女子プロ33人のランディングアングルの平均は32.5度だった。「全体的にけっこう低いですね。西村優菜選手は29.2度で20度台なのでかなり低い。30ヤード以上のランが出ていますね。飛ばないアマチュアは40度を超えるので、ほとんどランが出ません」と石井氏は話す。
西村のボール初速は58.8m/sで打ち出し角は13.3度、スピン量は2066rpmだった。キャリー自体は205.2ヤードだが、ランディングアングルが30度を切るので、落ちてからかなり転がり、トータル飛距離は236ヤードとなっている。
「ヘッドスピード40m/sくらいであれば、ランディングアングルは35度を切るくらいが、キャリーとランのバランスが良い。米ツアーの飛ばし屋、ブライソン・デシャンボーはランディングアングルが40度を超えていますが、あれはヘッドスピードが60m/s以上あるから。キャリーで飛ばしていけるわけです」
今回測定を行った女子プロ33人の平均ヘッドスピードは40.7ヤードなので、一般的な男性ゴルファーであれば、デシャンボーよりも女子プロを真似したほうが飛距離アップの近道になる。
では、どうすれば理想的なランディングアングルになるのか、石井氏は続ける。「アマチュアが参考にしたいのは、原英莉花選手や有村智恵選手のようなダウンブロー傾向ではなく、アッパー軌道で打っている人。小祝さくら選手が理想的ですね」
ここで小祝のデータに目を移してみよう。ヘッドスピード41.6m/sでボール初速62.4 m/s、2.4度のアッパー軌道で打ち出し角は12.2度、スピン量は2203rpm。結果として、ランディングアングルは30.1度となり、キャリー221.9ヤード、トータル251.5ヤードを記録した。西村と同様に約30ヤードのランを稼いでいる。
小祝さくらのランディングアングルに近づけるためには、自分に合ったドライバー選びが重要になる。「スピン量が3000rpmで多いという思考はやめたほうがいいです。デシャンボーはいろんな球を打ちますけど、2000台後半のスピン量がある。スピン量にこだわりすぎると、どんどんロフトが立ってオーバースペックになる危険も。ランは稼げるかもしれませんが、今度はキャリーが出なくなります」。女子プロのようにキャリー+ランで飛ばせるドライバーを選ぼう。
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